霧多布岬の絶景とラッコ観察ガイド|見どころ・アクセス完全版
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- 現地体験
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- 最終更新日:2025年3月17日
霧多布岬には、数年前から絶滅危惧種であるラッコが生活するようになりました。現在国内で唯一、野生のラッコの姿を見られる場所であることから、人気スポットになっています。
「どこに行けばラッコが見られるの?」から「ラッコのほかにも楽しめるものは?」まで、霧多布岬周辺の魅力を味わうための完全ガイドをお届けします!
もくじ
1.霧多布岬の絶景
標高40~60mほどの霧多布半島の東端、太平洋に突き出るように位置する「霧多布岬」。正式名称の湯沸(とうふつ)岬のほかトッカリ岬(トッカリはアザラシの意)と様々に呼ばれますが、いずれもアイヌ語に由来しています。
ダイナミックな自然の造形美は、春のエゾエンゴサクにはじまり夏・秋にかけて多くの花々が咲き誇り彩られます。また野生のラッコを通年見ることでも注目されています。
▲立ちこめる霧も岬の名物▲
霧多布岬のランドマークでもある湯沸(とうぶつ)岬灯台は、日本ロマンチスト協会と日本財団が実施する「恋する灯台プロジェクト」で、2016年に北海道第1号の『恋する灯台』として認定されました。通称「霧多布岬」の名のとおり、晴れているかと思えば急に霧が立ちこめることも多く、恋をしたときの気持ちのように世界を見えなくさせてしまうというのが認定理由だそう。
湯沸灯台の先まで遊歩道が続き、岬の先端近くまで行く事ができます。
2.霧多布岬でラッコを観察しよう
霧多布岬でラッコが観察されるようになったのは2016年頃。北方領土の千島列島から来たのではないか、とされています。 ウニやカニといったラッコの好むエサが豊富で、休憩や子育てに適した岩場が多いことなどの環境が、定着に適したようです。近年では徐々にその個体数も増え、2024年の夏には11頭のラッコ が霧多布岬の周辺8キロメートル周辺で定着して生活・繁殖していることが確認されています。
ラッコが見られるスポット
ラッコは湯沸灯台やその前後に延びる遊歩道から観察できます。遊歩道は、駐車場から湯沸岬灯台を経て岬の突端まで片道約15〜20分ほど。その遊歩道から見える海岸線沿いや岬の周辺で、波間に漂うラッコの姿を思った以上に簡単に見つけることができます。
※浜中町役場HPより引用
私が出かけた日は、岬の北側にあり、岬全体を臨む事ができる「霧多布岬展望台」周辺の海岸でも観察できました。
もちろんラッコは自然の生き物ですので、必ず巡り合えるかというと「運しだい」であることはご了承ください。
ラッコ観察のベストシーズン・時間帯
ラッコは昼行性で、年中問わず活動しています ので観察も年中可能です。ですが「霧多布」の字があらわすように、春から夏は海霧が海岸線沿いを覆います。そのため海岸線が全く見えないということも…。
ラッコ観察のベストシーズンは秋から冬にかけてとなりますが、夏の観光シーズンにあわせて訪れる際は、霧が発生する確率の低い「午前中の早い時間」をおすすめします。
ラッコを観察するときの注意点
岬の近隣にも注意喚起がされているのですが、ラッコはたいへん音や環境の変化にたいへん敏感な生き物です。ラッコが居なくなってしまわないよう、
・ドローンを用いた撮影は行わない
・エサを与えない
・大きな音を立てて、気を引くなどの行為は行わない
など生態系を守るためのマナーを遵守した観察が望まれます。
また観察できる場所から海面までは、ほどほどの距離があります。観察には双眼鏡をお持ちなることを強くおすすめします。また、写真撮影される方は望遠レンズが必須です。
▲私のスマホのカメラではこれが限界でした▲
遊歩道の外側には、貴重な野生植物が群生しています。植生を乱すことにつながる、遊歩道の外側を踏み荒らすことは厳禁です。遊歩道の外は切り立った崖になっていて、過去には滑落による死亡事故も起きています。
3.霧多布岬周辺 の楽しみ方・アクティビティ
霧多布岬はラッコのほかにも、広がる海とたくさんの花々に囲まれた遊歩道をゆっくり楽しんでもらえるスポット。霧はラッコの観察には残念な存在かもしれませんが、霧に包まれた霧多布岬周辺の光景は、たいへん幻想的です。
町全体を包む霧によって花や植物たちが潤い、霧多布岬周辺や近くの霧多布湿原は、四季を通じて美しい光景が広がります。夏には岬の周辺の放牧地で、ごく普通に馬の姿も見られます。
霧多布岬のすぐ近くにはキャンプ場や日帰り温泉施設もあります。
※浜中町役場HPより引用
霧多布半島の根本あたりには霧多布湿原が広がり、周辺ではホーストレッキングや湿原トレッキング、カヌーなどのアウトドア体験 がたくさん楽しめます。
また浜中町は「ルパン三世」の作者・モンキー・パンチさんの故郷でもあり、まちの至る所にキャラクターが飾られています。毎年夏になると「ルパン三世フェスティバル」が開催され、日本各地や世界のルパンファンが訪れます。
4.霧多布岬までのアクセス
霧多布岬の最寄りの空港は「根室中標津空港」で、車で約1時間半(約90㎞)の距離にあります。根室中標津空港には、通年羽田空港の定期便が運航しています。
就航便の多い「たんちょう釧路空港」からは車で約2時間(約110㎞)。こちらは羽田空港からの定期便と、夏季限定ではありますが関西・伊丹・中部国際空港から直行便が就航します。
公共交通機関を利用する場合は、JR釧路駅から花咲線で根室ゆきに乗車し「茶内駅」下車。列車の到着に合わせて霧多布方面まで町営バスが運行されています。(土日祝日のバス利用は、前日までに予約が必要のデマンド運行) バスの終点「霧多布温泉ゆうゆ」駅から徒歩約35分ほどで霧多布岬にアクセスできます。
- 住所
- 北海道厚岸郡浜中町湯沸
4-1.最適な観光シーズン
四季を通じて美しい浜中町ですが、訪れるなら避暑を体感できる夏がいちばん気持ちよくておすすめ。8月の昼間でも海岸線沿いは、気温が20度に満たない日もあるくらいです。
バイクツーリングやドライブ、自転車で訪れても、道道123・142号線にかけた「北太平洋シーサイドライン」は、遮るもののない絶景の道を楽しめます。
同じ浜中町のなかでも、酪農地帯である内陸地と霧多布岬のある海岸線では、気温が5度ほど違うこともめずらしくありません。訪れる際は服装選びにご注意ください。
季節はもちろん日の出や夕日など、時間によっても雰囲気が全く違うのが浜中町の景色。ゆっくりと過ごしたい町です。
夏から秋にかけては、食の恵みの季節になります。毎年7月と9月には食のイベントも開かれますので、ぜひ浜中町観光協会のホームページでご確認ください。
5.おわりに:霧多布岬周辺はグルメもいっぱい
霧が運ぶミネラルいっぱいの水蒸気に育まれた牧草を食べて育つ、乳牛からの恵み「牛乳」は、ハーゲンダッツアイスクリームの原料となる生乳となって います。そのため浜中町は『ハーゲンダッツの故郷』と呼ばれています。
霧多布岬周辺の「ウニ」「昆布」や「牡蠣」など、食べたいものがいっぱいありすぎて困ってしまうのが浜中町とその周辺地域です。
人口は約5,200人の静かな町 ですが、とても1日だけでは足りない楽しみがいっぱいの道東・浜中町。霧多布岬の風景やラッコとともに、存分にお楽しみください。

山﨑 陽弘(やまざき あきひろ)
1975年、大阪府生まれ。32歳の時に「趣味のオートバイで訪れ、その雄大さに魅了された」北海道・道東に移住しました。現役の男性看護師として地域医療・福祉にも尽力しながら、地域の魅力を発信しています。
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