北見ハッカ記念館・薄荷蒸溜館|ミントの香りに包まれるオホーツク地方の歴史散歩
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- 網走・北見・知床
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- 最終更新日:2025年11月13日
昭和初期に建てられた旧ホクレン工場 を改修した館内には、当時使われていた機器類や資料が建物とともに丁寧に保存されています。現在も蒸留の実演が行われており、ミントの香りとともに、かつてハッカ産業が町を支えていた時代の面影を感じることができます。
爽やかな香りに包まれながら、北見の産業と文化の歩みを感じられるレトロな記念館を巡ってみませんか。
展示~昭和10年に建造された旧研究所もみどころ~
北見の中心部に佇む「北見ハッカ記念館」は、昭和10年に建てられた旧ホクレン北見薄荷工場の研究所を活用しています。白壁に木枠窓が映えるドイツ風の建築様式で、当時の研究施設としてはきわめてモダンな造り。

玄関を入ると、いまも当時の時計が静かに時を刻み続け、訪れる人を昭和の研究所時代へと誘います。木の床をきしませながら進むと、ほんのりとミントの香りが漂い、往時の研究員たちの息づかいまで感じられるようです。


館内には、北見の薄荷産業が世界市場を席巻していた時代を伝える写真や製造器具、輸出用の缶、国内外の資料が並びます。実際に使われていた蒸留装置や瓶詰機も保存され、ハッカ油がどのように精製されていたのかを視覚的に学べます。

さらに、貴賓室や工場長室などは当時の内装がそのまま残されており、重厚な木製家具や照明の意匠が見事。昭和初期の北見がいかにハッカ産業で隆盛し、誇りを持っていたかが伝わってきます。



建物そのものが文化財 として大切に保存され、木の温もりとミントの香りが調和する空間。記念館と隣接する薄荷蒸溜館を合わせてゆっくり見学すると、所要時間はあわせておよそ1時間ほど。北見が歩んだ“ハッカの物語”を香りとともにたどる、小さな時間旅行が楽しめます。
薄荷蒸留館
「北見ハッカ記念館」に隣接する「薄荷蒸溜館」は、かつて農家が共同で使っていた“ハッカ小屋”を木造で忠実に再現しており、ハッカ農家が苗を植え、収穫し、蒸して精油を取るまでの工程を紹介することを目的に、平成14年に建てられた施設です。

素朴ながらも温もりを感じる外観が印象的で、館内には銅製の蒸留釜や冷却装置が並び、当時の作業風景をそのままの雰囲気で伝えています。


開館日には毎日、午前10時から午後3時までハッカの蒸溜実演が行われており、立ちのぼる蒸気とともに爽やかな香りが広がります。
見学は無料で、隣の記念館に来たなら、屋外のハーブガーデンとともに合わせて訪れたい場所。派手さはないものの、静かな空間で北見の産業文化を感じられる“知る人ぞ知る”スポットです。
売店ではお土産の販売も
館内の売店では、ここで実際に抽出されたハッカ油「取卸油(とりおろしゆ)」と、蒸留の過程でできる「蒸留水」を数量限定で販売。蒸留したての繊細な香りをそのまま閉じ込めた貴重な一本です。


この油を使って作られた「ハッカ飴」も人気で、程よい甘さとしっかりめの清涼感が魅力。いずれも薄荷蒸溜館だけの限定商品として、記念に買い求める人も多いそうです。他にも北見ならではのおみやげ品も販売されています。

ハッカ蒸留見学と、ハンドクリーム制作体験

薄荷蒸留館では無料で見学できる蒸溜実演のほか、事前申し込み制(体験料2,200円)で「フェアリークリーム」と呼ばれるハンドクリームづくり体験も実施中。自分で香りを調合し、オリジナルのクリームを仕上げられる隠れた人気プログラムです。
(所要時間は約30分、前日までに電話で問合せ・予約を推奨)
北見ハッカ記念館・薄荷蒸溜館アクセス

JR北見駅から徒歩10分、無料駐車場完備。重厚感のある木造建築に漂うミントの香り。時を経ても変わらない静けさが、この地に根付いたミント文化の誇りをそっと伝えています。北見の歴史とものづくりの息づかいを感じる、心落ち着くひとときはいかがでしょうか。
- 住所
- 北海道北見市南仲町1丁目7−28
- TEL
- 0157-23-6200
- 営業時間
- 9:00-17:00(11月~4月は9:30~16:30)
休館日:月曜日および祝日の翌日および年末年始
ただし、金・土曜日が祝日の場合は開館、また月曜日が祝日の場合も開館し翌日休館となります。
- 備考
- ハンドクリーム制作体験は前日までに電話で問合せ・予約を推奨

山﨑 陽弘(やまざき あきひろ)
1975年、大阪府生まれ。32歳の時に「趣味のオートバイで訪れ、その雄大さに魅了された」北海道・道東に移住しました。現役の男性看護師として地域医療・福祉にも尽力しながら、地域の魅力を発信しています。
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