私の人生を変えてくれた!北海道・自転車旅の魅力を振り返る
- 北海道全域
- 最終更新日:2021年7月27日
かくいう私も、大学4年生の夏、自転車に乗って北海道を旅してから、すっかりその虜になってしまいました。社会人になってからも、機会を見つけては、頻繁に北海道へ渡り、弾丸自転車旅を楽しんでいます。社会人5年目ですが、ほぼ毎年北海道を走っているほど。
そこで今回は、今までの旅の記録いくつかを振り返りながら、北海道・自転車ツーリング魅力をご紹介したいと思います。
1.初・北海道自転車旅は、学生時代の最高の思い出
北海道自転車旅 1100km
ルート
小樽〜札幌〜岩見沢〜富良野〜旭川
北見〜網走〜屈斜路湖〜釧路〜帯広
札幌〜千歳〜支笏湖・洞爺湖〜室蘭〜苫小牧
私が初めて、自転車で北海道を走ったのは、大学4年生の夏。社会人になる前、最後と言えるフリーな時間を使って、およそ1100kmほど北海道の内陸をぐるりと一周しました。
2016年は、北海道へ3回も台風が上陸した、観測史上初めての年。出発前の天気予報もすこぶる悪かったのですが、結局全ての日で雨を回避しながら走破することができました。
初めての北海道はビギナーズラック感が強く、学生らしい常にギリギリの旅でしたが、それゆえに、最高に充実した時間で、私の自転車人生へ大きく影響を与えてくれたのは間違いありません。
まず強烈に思い出に残ったのは、本州で出会うことのできない大スケールのフィールドです。果てしなくのどかで、どこまでも広がる地平線と道。ペダルを踏めば踏むほど、スピードが上がり、走る喜びが感じられます。
逆に言えば、終わりのない道の上では、ペダルを漕ぎ続けるしかありません。自由と引き換えに、試練を与えられた、まるで”試される大地”とでもいう表現が適当でしょうか。
日常から離れた大自然の中、自転車で走ることに没頭する時間は、ひたすら感動と気持ちよさに富んでいました。
そして同じく印象的だったのは、二輪乗り同士のコミュニケーションです。追い越して行く、または反対車線ですれ違う、バイクのライダーから手を振られたり、「頑張れ!」とガッツポーズをもらうことも!
なお北海道には、ライダーハウスと呼ばれる二輪乗り向け格安宿が点在しており、泊まるたびに一期一会の出会いがあったのも、旅のアクセントになりました。
“二輪で旅する者同士、みんな友達で、みんな仲間”とでも言うようなツーリング文化が北海道には根付いており、この緩やかな輪がとても居心地良かったのを覚えています。
およそ2週間ほどの旅でしたが、終わってみれば本当にあっという間でした。北海道から帰ってきて3日後、ふと込み上げる旅の感動や、自転車で走っている感覚を思い出しては、すでに再訪へと思いを馳せている自分がいました。
1100kmという長距離を走りましたが、道中のシーンが、まるで動画のように一続きに繋がって、脳内再生されていくのが不思議ですね。北海道の初自転車旅は、自分の記憶へ、最初にして至高のオリジナルストーリーを刻み込んでくれました。
2.ニュースで見た、あの絶景を求めて、初秋の道央へ
道央自転車旅 250km
ルート 富良野〜美瑛〜大雪山〜旭川 / 小樽〜積丹〜余市
学生時代の素晴らしい自転車旅が忘れられず、社会人1年目にも、北海道自転車旅を計画した私。学生の頃と違い、時間がないので、初めて飛行機輪行(=自転車を折りたたんで袋に詰め、受託荷物として預けること)を利用しました。
あの時は本当に預けられるのか?びくびくしていましたが、心配は杞憂。またANAやJAL、スカイマークなどの航空会社では、自転車を預ける追加料金がかかりません。
自転車と飛行機の組み合わせが最強だと言うことに、気づくことができました。
さて、季節は9月中旬、北海道はすでに秋の香りがしていました。道端に咲いたコスモス、刈り取った稲。夏とは違う美瑛の情緒に、心奪われた瞬間が、枯れ草の匂いとともに蘇ります。
帰ってきたという嬉しさとともに、以前とは少し違う北海道の顔。懐かしさと好奇心が入り混じる感覚。ペダルを漕ぐたびに、少しずつ心が満たされていくのが分かりました。仕事で蓄積していたストレスが、スッと溶けていきました。
中でも旅の2日目、早朝の肌寒い中、自転車に乗って北海道の屋根・大雪山を目指した記憶は忘れられません。雨が降りそうな天気もなんとか保ってくれ、山上では日本一早い紅葉を見ることができたのです。
今までニュースでしか見たことのない絶景をこの目に収められたこと、そして自力で北海道の頂・旭岳(標高2291m)を踏めたことに、この上ない達成感を覚えました。学生来の親友との、最高の思い出です!
一方で、気候が安定しないシーズンと言うこともあり、旅のプランニングに困りましたが、電車やバスを活用しながら、雨を回避できたのが大きかったです。
北海道では大型の都市間バスが発達しているので、多くの路線でバス輪行(=自転車を折りたたんで袋に詰め、バスに預けること)が活用できます。バス輪行は本州では大変珍しく、北海道ならではのアドバンテージと言えるでしょう。
そのため自転車旅と移動を分割し、要所をしっかり押さえて旅を楽しめました。特に小樽から神威岬までたどり着いた、積丹半島サイクリングの気持ちよさが忘れられません。
そして、雨の中いただいた旭川ラーメンのホッとする味が、今でも心の隅で拠り所となっています。
3.思い焦がれてようやく来られた、最果ての地「知床と羅臼岳」
道東自転車旅 570km
ルート
女満別〜網走〜屈斜路湖〜標津〜羅臼知床〜斜里〜女満別
6日間で女満別から知床まで約600km、全て自力で一周することができました。雨の日も向かい風の日も、一心不乱に漕ぎ、道中は半ば忍耐力との戦い。
またこの時走った網走〜知床は、5年前の学生時代に、台風の影響で走ることができなかった区間。それだけに一段と思い入れが強く、やっとの思いの挑戦でした。
道中では念願だった、世界遺産・知床の最高峰「羅臼岳」にも登頂。
道東を走って再確認したのは、どこまでも続いてく道と、対峙する自分。視界に収まることのない大スケールのフィールドを、一漕ぎ一漕ぎ進んでいく時間は、最初の自転車旅で感じた北海道の魅力を再確認させてくれるものでした。
「あぁ、やっぱり良いなぁ。」
今走っているのは見知らぬ土地だけれども、この北の大地に帰ってきたという安堵感。同時に掻き立てられる冒険心。みなぎるものを全て推進力へと変換する感覚。
外へ気軽に出れない時勢だっただけに、日常から離れて旅に没頭できる時間は、無類の幸せだと再認識しました。
また今回の旅でも、思いがけないイベントが数々ありました。
・2泊目に同じ宿に泊まっていた2人組のライダーと、3泊目も同じ宿で鉢合わせ。夜ご飯に串焼きを食べて盛り上がり、翌日も半日一緒に行動。
・2泊目に同じ宿に泊まっていた旅人と、5泊目に同じ宿で鉢合わせ。一緒にレンタカーを借りて道東を1日巡ることに。
・キャンピングカーに風よけとなってもらって、逆風が吹く道を先導してもらったり。
など、どれも北海道らしいイベントばかり。どれも何気ないエピソードなのですが、一つ一つかけがえのない一期一会。北海道への自転車旅とは、人生に必要な小さな小さな宝物を探す活動なのかもしれない。振り返れば、そう悟ってしまいます。
しかしながら、その一方で、学生時代からかれこれ5年が経過しているのに、驚くほど変わらない自分の姿に、クスッと笑ってしまいました。
未だに道端に出会った人から、「学生さんですか?」と言われるはずです(笑)思ってみれば、北海道をバイクで回っているライダーも、みんな実年齢に比べて若々しい気がします。
4.北海道を旅したことで、人生が変わった
これまで日本各地を自転車で走ってきた私。脳内にはいつも、北海道を駆ける体験で得られた、代え難い臨場感が残り、それが旅の原動力となっています。
真っ青な空、どこまでも続く道。走っている中で、頰をなでる風と、どこか懐かしい匂い。ひたすらに爽快で、いつまでも終わってほしくないと思う時間。究極的には今でも、これらを求めて旅をしていると言っても過言ではありません。
そして、旅の道中でのイベント・一期一会は人生を彩ってくれる出会いです。その場限りの些細なものではありますが、ずっと忘れられない大切なもの。
日常生活に戻った後、その記憶の宝石箱をふと開いたとき、あの旅がつい先日のことだったように鮮明に蘇ってきます。何年たっても一緒に旅した仲間と語らい、楽しかったあの時間が元気をくれ、日常を頑張ろうと思わせてくれます。
北海道への自転車旅は、大切な影響を人生へ与え、そして豊かにしてくれました。一言で言えば「包容力」。自分の感覚感情をフルに解放できる北海道だからこそ、ぜひ一度自転車で旅することを勧めたいと思います。きっとあなたの人生が変わるかもしれませんよ。
日本深掘りサイクリスト・フォトグラファー 土庄雄平
1993年生まれ、愛知県豊田市出身。同志社大学文学部文化史学科・英文学科卒。サラリーマンの傍、自転車旅&登山スタイルで、日本各地を駆け巡るトラベルライター。 四季折々の日本を五感で捉え、発信しています。
こちらの関連記事もどうぞ
姉妹サイトのご紹介(よかったら見てね)