行者ニンニク(アイヌネギ)を採って料理して食べてみた!
- 北海道全域
- 最終更新日:2024年5月21日
私がそれを初めて食べたのは、小学生の頃でした。当時は祖母の親戚が道東に住んでいて、毎年春になると行者ニンニクやワラビ、ウドなどの山菜でいっぱいの荷物が送られてきて、それを祖母がせっせと調理してくれました。
行者ニンニクのクセになる独特の香りと辛味。小学生の私には少しだけ刺激的だったことを覚えています。
今回はそんな行者ニンニクの魅力をお伝えするべく、山に採りに行き、料理し、食べてきました!
行者ニンニクの下処理の仕方や食べ方などに参考になれば嬉しいです。
1.行者ニンニクとは
行者ニンニクとは、ネギ科の多年草で北海道や近畿以北の亜高山地帯の針葉樹林、混合樹林帯の水湿地に群生しています。
北海道では4月から5月頃の春の山菜として知られ、ほぼ道内全域で見ることができます。
北海道のホームセンターでは春先に行者ニンニクの苗が並ぶほど、道民にとっては親しみ深い山菜。
スーパーや直売所で購入もできますが、山に採りに行かれる方も多く、毎年行者ニンニクを山に採りに行く山菜のプロ(?)には、他人には絶対に教えない秘密の行者ニンニクスポットがあるとか。
行者ニンニクは、通称「アイヌネギ」とも呼ばれ、アイヌ民族の人々は古くから食用としたり、薬として用いたり、祭祀などにも使用していたそうです。
行者ニンニクの特徴は、その独特な香りと味。ニンニクやニラなどにも含まれる香味成分の「アリシン」が豊富に含まれ、疲労回復や抗菌・抗カビ作用、脂肪燃焼や新陳代謝促進効果が期待できます。
ただし!行者ニンニクに含まれるアリシンの量はニンニクの4倍とも言われており、その分臭いも強烈!食べ過ぎには注意が必要です。
2.行者ニンニクを食べるぞ!
行者ニンニクの苗をホームセンターの園芸コーナーで見かけた数日後、その話を職場の同僚Aさんにすると「アイヌネギならうちの山の近くで採れるぞ」と。
”うちの山”という強烈な言葉に惹かれ、後日連れて行ってもらうことにしました。
2-1.行者ニンニク採りへ
Aさんの”うちの山”は、想像以上本格的な山でした。「カバンに付けとけ」と手渡されたのは熊よけの鈴。
スニーカーにトレーナー、という軽装で来てしまった自分を少し後悔しました。
行者ニンニクは、木々に囲まれてほどほどに日の当たる山の斜面や崖、水辺の近くの林の中に自生することが多いとのこと。
目的の地点に着き、私は林道の脇を、Aさんは林道から少し離れたところを探してくれることに。
「絶対に林道から外れるな!」というAさんの一言が、山の怖さを物語ります。
しかし、探せど探せど、見つけられず。素人にもわかりやすいフキやよもぎ、三つ葉などしか見当たりません。
北海道に春を告げる花、エゾエンゴサクが可愛い...肝心の行者ニンニクはどこ!
行者ニンニクは、近年の山菜ブームによる乱獲のため数を減らしていて、人の入らない崖や急斜面で生き残っていることが多いそうです。
こんな林道の脇で見つけられたとしたら、奇跡に近いかも・・と諦めかけたとき、熊鈴を盛大に鳴らしながら戻ってきたAさんが、「あったぞ!」と。
林道から少し離れた急斜面で群生していたのを見つけて、足場が悪い中で写真も撮ってきてくれました。
2-2.行者ニンニクの下処理
結局行者ニンニク探しでは全く役に立たず、Aさんに頼りっぱなしの私でしたが、ここからはAさんが採ってきてくれた行者ニンニクを美味しく調理していきたいと思います!
行者ニンニクには、山菜にはつきもののアクがないので下ごしらえは意外と簡単。よく水洗いをして根本の硬い皮を取り除くだけです。
このとき、「はかま」と呼ばれる赤い部分を取る量で行者ニンニクの香りが調節できるので、好みや料理によって調節します。
2-3.行者ニンニクレシピ
まずはシンプルに「おひたし」にしてみました。
お湯が沸いたらお塩を入れて、行者ニンニクを1~2分ほど茹がきます。茹で上がったら冷水で洗ってザルにあげてお水をよくきったら適当な大きさに切って出来あがり。
私は醤油、母はポン酢、と好みの味つけで一口。「美味しーい!」と思わず言ってしまいます。鼻から抜ける行者ニンニクの香りがたまりません!
次に作ったのは「天ぷら」です。
天ぷらを揚げるのは苦手な私ですが、サクサク食感は歯切れよく、行者ニンニクは油とも相性がいいので香ばしく美味しくいただけました。
肉好きな高校生の息子には、チキンソテーと一緒に焼いてみました。
肉汁とからみあった行者ニンニクの味に、息子も思わず「美味い!」と一言。軽く焦げたくらいの行者ニンニクの味が、香ばしさもアップして肉との相性も抜群!だそうです。
行者ニンニク祭り(笑)一日目の最後は、「醤油漬け」です。
茹でた行者ニンニクを適当に切って、醤油に浸して上からラップ。味を染み込ませるため、明日のお楽しみとしました。
さて翌日、行者ニンニク祭り二日目の一品目は「卵焼き」です。
ニラ玉と少し似た味わいですが、飲み込むときに感じる香りが行者ニンニクならでは。ニラ玉よりもオトナな味わいで、お酒のつまみにもなりそうです。
そして「餃子」も作ってみました。
中身はシンプルに豚ひき肉と行者ニンニクのみ。塩、コショウで味付けしたものを包んで焼いていきます。
焼き上がった餃子に、前日仕込んでおいた行者ニンニクの醤油漬けを乗せ、漬け汁をかけて食べると・・・。
餃子の中身も薬味も、タレまで行者ニンニクなので、口の中も香りも行者ニンニクに包まれて、ご飯も進む、お酒も進む、明日も元気いっぱい頑張れそう!な餃子の完成です。
3.まとめ
行者ニンニクを実際に山に採りに行ってわかったこと。それは、決して素人一人では行くべきではない!ということ。遭難や熊などの危険があることはもちろん、見る目を持っていないとさっぱり見つけられないのです。
やっぱり食べる専門がいいなぁー、とズルいことを考えながら、行者ニンニク祭り最終日は道民のソウルフード「ジンギスカン」でシメました。
忍冬
北海道札幌市生まれ札幌市在住。動物が好き、自然が好き、北海道が大好き。生まれ育った北海道を地元目線でご紹介します。
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