ジン鍋博物館|ジンギスカンの鍋だけを集めた博物館が岩見沢にオープン!
- 千歳・支笏湖・夕張
- 最終更新日:2019年3月11日
それはまさに北海道民のソウルフード。
家庭で「今晩は焼肉よ!」と言えば、食卓は当然ジンギスカン。
お花見、町内での集まりや夏に庭でのバーベキュー。出て来るのは勿論ジンギスカンです。
ガイドブックにも様々なお店が載っていますし、観光などで北海道を訪れ、街を歩いてジンギスカンの看板を掲げるお店の数に驚いた方も多いのでは無いでしょうか。
では、あなたはそのジンギスカンの『鍋』に注目したことはありますか。
「え、ただの鉄の鍋でしょ」と思った方!
はい、岩見沢市に行きましょう!
岩見沢市に150枚ものジンギスカン鍋を集めたジン鍋アートミュージアムが出来ました。
それぞれ素材も、大きさも何もかもが違います。
ジン鍋アートミュージアムがオープンすると聞いて、今回オープニング記念パーティに合わせて、実際に行って来ました。
1.ジンギスカンの始まり
ジンギスカンは中国の羊肉料理「カオヤンロウ」が原点と言われています。
カオヤンロウは羊肉を薄く切り分け、漬けだれに漬け焼いたもの。
そして羊を食べるという文化が大正末期から昭和初期に掛けて日本に伝わりました。
一般家庭に広く普及するのは、戦後の昭和20年代後半から30年代に掛けてのことです。
日本では軍隊用の着衣を作るため、羊の増産を進めていた時期でした。
しかし、毛を刈った後、肉が余ってしまい、それを利用するためのアイディアとしてジンギスカンは広まりました。
2.ジン鍋アートミュージアムのある場所
11月11日に正式オープンしたジンギスカン鍋を集めたジン鍋ミュージアム。
ジン鍋アートミュージアムがあるのは岩見沢市栗沢町万字という場所です。
オープンの11月11日はかつて万字も通っていた旧国鉄万字線の開通記念日にあたる日です。
最も多い時期には7000人以上だった人口も徐々に減ってしまいました。
札幌市内から車で向かう途中、ぽつぽつと人家のあるなかを山の方に車を走らせると人の集まっている場所がありました。
取材に行ったオープン翌日の11月12日は持ち寄りジンギスカンによるオープニングイベントの日。
既に集まっていた人たちが火を起こしたり、会場の準備をしていたのです。
車を降りると、お客さんに鍋について楽しそうに説明するジン鍋アートミュージアム溝口館長が居ました。
現在は人家もまばらで、地区人口も約50人、現在は限界集落となった場所ですが、かつて万字炭鉱があり、栄えたこの地は、溝口館長の祖父・溝口作蔵氏が商店を開店した場所です。
その後、代々ご家族が継ぎ、商売を続けていましたが、旧万字線の廃線などにより、2001年に店を閉じました。
そんな場所に、ジンギスカンの収集と展示を通じて、「見て」、「触って」、そして「食べて」ジンギスカンやジンギスカンの鍋について研究、学習して欲しいと溝口館長が開館したのがジン鍋アートミュージアムです。
3.ジン鍋アートミュージアムの展示
実際に足を踏み入れたジン鍋アートミュージアム。
中には所狭しとジン鍋やジンタレのビンが並べられていました。
ジン鍋はその数なんと157枚!勿論、すべて唯一無二で同じものはふたつとしてありません。
収集は継続しており、これからも展示数は増えていく予定です。
溝口館長が収集を始めるキッカケは何だったんでしょうか。
溝口館長は、異業種交流会を主宰していました。
そこでジンギスカン、ジンパ(ジンギスカンパーティ)の研究をライフワークとする北野隆志氏と出会いました。
北野氏との交流を重ねるうち、ジン鍋の魅力に目覚めた溝口館長。
そうして、溝口館長、北野氏が中心となり、異業種交流会メンバーで昔の型のジン鍋を探し始めたそうです。
そんな時、溝口館長が現在は博物館となっている溝口商店倉庫を整理している時に商店倉庫からもジンギスカン鍋が見つかりました。
それらを調べてみるとかなり希少価値の高いものであることが分かりました。
溝口商店倉庫で見つかった鍋のうちのひとつ。
着脱可能な取っ手が付いており、鍋が熱くても持ち運びが出来るタイプ。
持ち手は鯱ホコ。
それをキッカケに溝口館長のジン鍋コレクション熱に火が点き、以降、コツコツと集めてきたものがカタチとなったのが、ジン鍋アートミュージアムというわけです。
ジン鍋は材質、形状はもちろんのこと、様々な観点で集められています。
スリットが入っていることで、鍋のしたの火から出る煙が直接当たることで、肉が燻されます。
北海道の星!日本ハムファイターズの刻印の入ったもの。
どうやって焼くのか気になる釣鐘型のもの。
よく見比べないと何が違うのか、何が特徴なのか分からないものもあります。
しかし、鍋ごとに丁寧に説明が付けてあるので、安心です。
説明を読むことで、より理解も深まります。
溝口館長にお話を聞いていくとジン鍋も、様々な進化を遂げてきたことが分かりました。
例えば、かつてはスリット入りが多く使われていましたが、それは換気などを気にしなくて良い屋外でジンギスカンをしていたから。
徐々に屋内、家のなかでジンギスカンをする家庭、機会が増え、それにより、煙がモクモクと上がるものは都合が悪くなり、スリットの無いものへと変わっていきました。
また、レジャーや行楽に使われることも多くなり、持ち運びし易いもの、食べ終えてからの処理がし易いものが好まれるようになりました。
そして、アルミ製の使い捨てのものや熱源から鍋、材料、タレなど一通りのものが揃ったセットが出回るようになりました。
そして、地域によっては生肉をタレに漬けた状態のもの、いわゆる味付け肉が普及し、タレの付いた肉を焼いても焦げにくい鍋や、後片付けのラクなものが考案されるようになりました。
4. 見るだけじゃない、食べて感じるジン鍋の歴史
数多くのジン鍋が展示されているジン鍋アートミュージアム。
アート、芸術としても楽しめることが分かったジンギスカン鍋。
でも、鍋のことは見ているだけじゃ分かんない!実際に焼いてみてこそ、鍋のことが分かるはず。
なかには、使用出来ないものもいくつかありますがジン鍋アートミュージアムでは動態保存も兼ねて使用可能な鍋は貸し出しを行っています
(ミュージアム敷地内指定場所限定)。後始末の方法や鍋の使い方も教えてもらえます。
実際に使ってみたいと思った人は電話予約のうえ、火力源、食材、食器など必要なものを持参のうえ、是非珍しい鍋、気に入った鍋で実際にジンギスカンを楽しんでみましょう。
おわりに
いかがでしたか。
ジンギスカンの鍋だけを集めた博物館。北海道民であれば、日常的に目にするものですが、行ってみれば「こんなに種類があったのか」ときっと驚くはず。
また、北海道外の方は、。北海道の人たちがジンギスカンに掛ける情熱、魂を知ることが出来るはずです。
ジンギスカン鍋アートミュージアム
住所:北海道岩見沢市栗沢町万字仲町8番地
電話番号:090-7054-0971
(溝口館長の携帯電話)
入館料:無料。「寄付」は歓迎。
開館日・開館時間:4月から10月末までの夏シーズン。
原則として土日で、開館。館長は普段北星学園短大部教員をしているため、館長の都合のつく時のみ開館しています。ただし、毎年11月11日は、開設記念日として開館。開館予定日はfacebookページに掲載予定。
Facebook:ジン鍋アートミュージアム/ジン鍋博物館/ジンギスカン鍋博物館
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