名古屋から北海道へ約40時間の大航海!ゆったり楽しむ「太平洋フェリー」乗船記
- 北海道全域
- 最終更新日:2024年11月8日
名古屋港から北海道・苫小牧西港まで約40時間かけて運航される「太平洋フェリー」は1,330㎞の国内最長のフェリー航路であり、のんびりとした船旅が楽しめます。
筆者も今までは飛行機が定番でしたが、今回は赤ちゃんがいる家族旅行という事で荷物が多く、飛行機は機内で身動き取りづらい事に少々不安があったので、車ごと乗りこめるフェリーをチョイスしてみました。
もくじ
名古屋港(名古屋フェリー埠頭)でから40時間の船旅へ
名古屋発の出港時間は19:00、苫小牧西港の到着は翌々日の11:00と船内2泊の船旅のはじまりです。
車がある場合、乗船手続きは出港の1時間半前まで※に済ませておく必要があるので、なるべく17:00前には名古屋港に着いておきたいところ。
※車無しの場合は出港60分前まで
名古屋フェリーターミナルでさっそく受付。車も船に載せる場合は受付は運転手のみでOK、車検証や予約時に支払ったクレジットカードを受付に持参します。
受付窓口は常に混雑していました。
手続きを終えたら、運転手はマイカー車内で待機、同乗者は旅客の出入り口から徒歩で乗船します。
お体の不自由な方や高齢の方、小さな赤ちゃん連れの家族の場合、同乗許可証の発行をお願いすれば、車で一緒に乗船することも可能です。
名古屋港フェリーターミナル内に売店は無く、夕刻は食堂も営業していません。最寄りのコンビニも2㎞以上離れています。
名古屋出港前後の2時間はフェリー内のレストランが営業していますが、今回乗船後には大量の荷物の整理や赤ちゃんのご飯・お風呂などやる事が多かったので、あらかじめお弁当を購入しておきました。
購入したのはフェリーターミナルから車で約10分の場所にあるベントマン 稲永宝神店。定番のお弁当に加えて、B-1グランプリとコラボしためいほう鶏ちゃん丼も美味しかったです。
売店も大浴場もある船内はまるでリゾートホテルのよう
名古屋-苫小牧間を運航する船舶は「いしかり」「きそ」の2つがメイン。旅客スペースは5~7デッキの3階層に渡っていて、インテリアのテイストなど多少の違いこそあれ設備や配置はほとんど同じです。
※まれに運航する「きたかみ」は船舶規模・設備の異なる点が多くあります。
客室は全12タイプ。
カジュアルな価格帯には相部屋タイプもありますが、今回は赤ちゃん連れ旅行ということもあり、スタンダードな個室である“1等客室(和室)”を選択。
行きに利用した「いしかり」はカーペット敷き、帰りに利用した「きそ」は畳敷きとなっていました。テレビや冷蔵庫が備え付けられた約6畳のお部屋で、大人2人と赤ちゃんでちょうど快適に過ごせる程よい広さでした。
個室タイプの客室にはシャワー・トイレがあります。アメニティも充実しており、タオル、洗面用具、歯ブラシ、ナイトウェア、ティーセットなどが一通り揃っています。
ヘアードライヤーもありますが、風力は少々心許なし。シャワーの水圧がしっかりしており、温度調整も簡単にできたのは好感触でした。
船内にある売店には、パンやカップ麺、お酒やお菓子などの食料品に加えて、北海道・仙台・名古屋の名物や、太平洋フェリーグッズなど、数々のお土産まで揃う売店もぜひチェックしておきたいところです。なお、きその売店では酔い止めの薬を販売していますが、いしかりでは販売していません。
売店で人気のアイス。じつは北海道上陸よりひと足先にセイコーマートの北海道メロンソフトを味わえるほか、新幹線でスゴイカタイアイスとして話題になったスジャータの「High Quality ICE CREAM」が、"ソンナニカタクナイイアイス"として販売されています。芳醇でミルク感が強く、高級アイスらしい美味しさで、量がたっぷり入っているのもポイントです。
フェリー内には展望大浴場があり、苫小牧西フェリーターミナルに到着する30分前まで、いつでも入浴できるのが嬉しいポイントです。広大な海を眺めながら、リラックスしたひとときを過ごせます。
タオルのレンタルはありません。個室タイプ利用の方は客室アメニティの中にタオルがありますが、相部屋タイプの客室利用の場合は持参する必要がありますのでご注意を。
フェリー内の食事事情
フェリー内での食事は、バイキング(レストラン)や軽食(スタンド)、パンやカップ麺(売店)から自由に選択しましょう。なお通信上の関係でクレジットカード等が利用できないため、現金の持参が必須です。
レストランでは、朝食、昼食、夕食の3回、バイキング形式で食事が提供されます。料金は朝食と昼食が大人税込1,100円、夕食が税込2,100円です。事前予約は不要で、レストランの営業中に入口前の券売機でチケットを購入して利用できます。
それぞれの時間帯で約1.5~2.5時間ほどと営業時間が限られているので、座席は多いですが営業開始直後は混雑しがち。開始10分前にはレストランに到着して、オープンと同時に良い席を確保することをおすすめします。
私が利用したのは夕食です。メニューは日替わりですが、一例として、焼売やポテト、サラダなどの定番メニューに加え、海鮮焼ちゃんぽんやアジの竜田揚げ彩り野菜あんかけといったユニークな料理も揃っていました。三河産のもち豚など、地元の食材が取り入れられていたのも印象的です。
写真は、大分風の鶏天とカツオのたたきです。鶏天はそばに入れて鶏天そばとしても楽しめ、カツオのたたきはネギ塩ダレをかけてひと味違った美味しさで味わえます。さらに、サムゲタンスープや玉子黒チャーハンといったボリューム満点のメニューも揃っており、ガッツリ食べたい派の筆者も大満足でした。
朝食時に利用したスタンド。
イチオシは太平洋フェリー伝統の味・賄いカレー(税込600円)です。マッシュルームやお肉・玉ねぎがしっかりと入り、甘く濃厚ながら朝から重くない絶妙な味付けで、モリモリ食べ進められますよ。
定番のモーニングセットはコーヒーにクロワッサン、サラダやゆで卵、フルーツがついて税込650円です。朝から野菜、タンパク質までしっかりとれるのが嬉しいです。
船旅ならではの楽しみ
太平洋フェリーはインターネット接続サービスを提供していません。個人でモバイルWi-Fiを持参していても、陸地からの電波が届く範囲は限定されますので、どれほど繋がるかは海に出てからでないと分かりません...という事はデジタルデトックスを兼ねてせっかくの船旅を楽しみ尽くすほかありません!
名古屋港夜景プチクルーズ
名古屋出港後にぜひ体験してほしいのが、名古屋港周辺の夜景を楽しむプチクルーズです。
名古屋に住んでいてもなかなか見ることのできない景色を満喫できます。特におすすめなのが、名港西大橋をくぐる瞬間です。この橋は名古屋トリトンの一部を構成しており、迫力満点の夜景を楽しめます。
また、日本初の自動化コンテナターミナルとして知られる飛島ふ頭南コンテナターミナルも見逃せません。巨大なガントリークレーンが並ぶ光景は圧巻です。
景色と写真を楽しむ船旅
デッキで大海原の風景を楽しみながら過ごしたり、思い思いに写真撮影にふけるのも船旅ならではの楽しみ方です。特に晴天の日には、青い空と白い船体が映える絶好のシャッターチャンスに。太平洋フェリーのロゴが入った煙突を背景にした写真は見応えがありますよ。
姉妹船とすれ違う瞬間があります。この時、対向するフェリーのお客さんと手を振り合いながら、太平洋を進む壮大な船体の写真を撮ると、船旅の思い出が一層深まることでしょう。
プレミアムな船内エンターテイメント
太平洋フェリーでは不定期で様々な演者による本格的なショーやコンサートを行っていて、無料で利用できます。あらかじめ開催日や出演者はホームページに発表されているのでチェックしてみてください。
私が利用した時は鍵盤ハーモニカとピアノのコンサートでした。ゆったりと船旅を楽しみつつ、音色に聞き入るのもなかなか味わい深い時間ですね。
ステージの他、ゲームコーナーやキッズルーム、船舶によってはカラオケルームやマッサージチェアもあります。
仙台寄港で一時下船も
船外ですが番外編として、寄港する仙台港で一時下船してゲットした牛たん弁当をご紹介。
仙台港での停泊時間は約2時間50分ですが、そのうち約2時間ほど一時下船が可能です。
下船してから多賀城市街まで歩くこと約20分、「たんや善治郎 多賀城店」では、クオリティの高い牛たん弁当をテイクアウトで利用できます。
厚切りの牛たんは食べ応え抜群で、肉の旨みがたっぷり。塩加減も絶妙で、炭火焼きの香ばしさが際立った絶品でした。
仙台港徒歩20分圏内には大きな公園やショッピングモールもあるので気分転換にもおすすめ。
事前に同意書を提出し、一時上陸・再乗船証を受け取れば準備は完了です。一時下船をしたら仙台港での乗船案内まで、船内に戻れないので注意しましょう。
のんびり過ごすのが船旅の醍醐味
帰路の苫小牧西港での受付はそれほど混みあわず、ひと安心。苫小牧西港ターミナルには、お土産物や食べ物を販売している売店や食堂もありました。
いかがでしたでしょうか?今回は、名古屋から北海道へ向かう太平洋フェリーの旅の模様をお伝えしました。
子供が小さい今だからこそ、40時間のフェリー旅も特別な体験になるのでは?と考え、実現した今回の旅。
ゆったりとした航海ならではの魅力、皆さんも長いお休みが取れたらぜひ体験してみてください。
名古屋⇔苫小牧西(いしかり・きそ)
・運行日 1~2日おき※ホームページ>運行日程表(ダイヤ)にてご確認ください。
・運航ダイヤ
名古屋発 19:00発→翌16:40着(仙台)19:40発→翌11:00苫小牧着
苫小牧発 19:00発→翌10:00着(仙台)12:50発→翌10:30名古屋着
・料金(大人1人、A期間※)
2等 12,300円
S寝台 16,500円
1等アウトサイド 24,200円
スイート 47,700円
※その他期間の運賃や乗用車運賃などはホームページをご確認ください。
※記事の内容は2024年10月乗船時の情報です。
日本深掘りサイクリスト・フォトグラファー 土庄雄平
1993年生まれ、愛知県豊田市出身。同志社大学文学部文化史学科・英文学科卒。サラリーマンの傍、自転車旅&登山スタイルで、日本各地を駆け巡るトラベルライター。 四季折々の日本を五感で捉え、発信しています。
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