花の浮島の最高峰「礼文岳」へトレッキング。RPGの世界が広がる山頂へ
- 道北・稚内・利尻礼文
- 最終更新日:2023年8月1日
今回はその中でも、礼文島の最高峰「礼文岳(れぶんだけ、標高490m)」を目指すトレッキングルートをご紹介!所要時間も短く、初心者向けの山でありながら、道中多くの高山植物を愛でることができ、島を360度見渡す壮大な冒険が待っています。
1.礼文岳登山口へのアクセス
それでは、まず「礼文岳登山口」へのアクセスから。
礼文岳への登山口は、島の東部・内路地区にある礼文岳登山口の一つだけです。フェリーターミナルのある香深港からは約11.5km。
登山口の目の前にはバス停・内路があり、路線バスで行く場合、礼文岳往復の標準タイムが約4時間ということを考えると、以下の便が利用しやすいです。(6月1日〜9月30日のみ)
【行き】
フェリーターミナル6:30→香深6:33→内路6:51
フェリーターミナル7:45→香深7:48→内路8:06
【帰り】
内路10:55→香深11:13→フェリーターミナル11:16
内路12:19→香深12:37→フェリーターミナル12:40
【運賃】
片道¥620
時間を気にせず、トレッキングを楽しみたいのであれば車、バイク、自転車をレンタルするのもあり。フェリーターミナル前にはレンタカーやレンタサイクルのお店があります。
トヨタレンタカー礼文店 | 0163-86-1117 | |
---|---|---|
日産レンタカー礼文カウンター | 0163-86-1360 | |
Cat Rock(レンタサイクル・バイク) | 090-7517-1095 |
また、礼文島のお宿では、自前でレンタサイクルを用意しているお宿も多いので、宿泊予約時にお伝えしておくと良いかもしれません。筆者は宿泊していた香深地区のペンション・ペンションうーにーさんに宿泊し、電動自転車を借りてアクセスしました。
バス停・内路の山側には砂利敷きの駐車スペース(車約7台分。サイクルスタンド有)があり、その奥の階段が登山口のはじまりです。
1-1.礼文岳登山での注意点
礼文岳登山口から礼文岳山頂までは道迷いしやすい箇所はなく、ルートは明瞭で電波も入ります。一方で留意しておきたいのは、礼文岳登山口付近に補給食や水分を買える場所がなく、登山道中にも水場がないという点になります。
あらかじめ港付近で補給食や水分を調達しておきましょう。路線バス以外で登山口へ向かわれる方は、セイコーマート香深店が最後の調達ポイントとなるのでご注意ください。
2.花々を愛でる深い樹林帯を進む登山道
それではいよいよルートをご紹介したいと思います。礼文岳山頂までは往復約8. 2km、往路は2時間10分、復路は1時間50分の計4時間が標準タイムです。
スタートすぐは内路の海岸線を見渡しながら登っていきます。海の景色が鮮やかで、日本百名山の一つ「利尻山(りしりさん、標高1,721m)」が顔を覗かせています。
ほどなくして笹原と樹林帯の道へ入っていきます。標高0m付近の海岸線から標高490mの山頂までジリジリと標高を上げていくのが礼文岳の特徴です。
傾斜のきつい箇所は数回くるのみで、あとは歩きやすい道が続きます。展望もなく景色変化は少ないのですが、さすがは花の浮島・礼文島。道中、宝探しを楽しむ感覚で高山植物を愛でることができます。
▲ウメガサソウ▲
▲オトギリソウ▲
▲アリドオシラン▲
※上記は7月の一例
多くの都道府県でレッドリスト(絶滅の恐れがある生物リスト)に指定されている希少な高山植物も多数見られますよ。
3.ニセピークから森林限界へ。PRGの世界が広がる山頂
スタートから1時間ちょっと、3/4を過ぎた地点で、登山道の傾斜が上り、クライマックスが近づいていきます。標高400mを超えたあたりから、森林限界へと入り景色が変わります。
森林限界とは高い木々が生育できない高山帯の始まりを示す境界線。本州では標高1,000m後半から2,000m前半で見られる植生が、礼文島では標高400m前後で見られます。
山頂手前には“ニセピーク”と呼ばれる、一見礼文岳の山頂に見える小さな山頂が現れます。ここに至ると島の東部から北部を見渡すパノラマのほか、どっしりと佇む礼文岳の山容を望みます。ここから山頂まではあと10分弱です。
そして登山開始から約2時間ほどで山頂へ。360度のパノラマが広がり、礼文島らしいダイナミックな地形と樹林帯、そして海が織りなす、まるでRPGの世界のようなパノラマが広がります。
北部のゴロタ岬や金田ノ岬、礼文島で一番難易度の高い8時間コースの導線など、礼文島の地理が手に取るように分かるのも面白いですよ。
礼文岳の標識の隣には、利尻山の山容も望むことができます。礼文岳はかなり曇りやすい天気のため、麓が晴れていても山頂が霧に包まれていることも多いです。
それに加えて利尻山までくっきり見える天気は稀のため、完璧な景色を見られるかは運次第ですが、それも利尻・礼文エリアの自然の迫力を物語っています。
そんな「礼文岳」ですが、実は新日本百名山の一つ。新日本百名山とは、かつて有名な登山家が、中高年が登りやすい山という点を加味して選定した日本の百名山を指します。
日本離れした絶景が待っているだけでなく、体力的にも登りやすく、高山植物鑑賞の楽しみもある名山と言えるでしょう。
- 備考
- アクセス:フェリーターミナルより路線バスより約20分(内路下車)、自転車約30〜40分、礼文岳登山口より往復約4時間
日本深掘りサイクリスト・フォトグラファー 土庄雄平
1993年生まれ、愛知県豊田市出身。同志社大学文学部文化史学科・英文学科卒。サラリーマンの傍、自転車旅&登山スタイルで、日本各地を駆け巡るトラベルライター。 四季折々の日本を五感で捉え、発信しています。
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