車なしで釧路湿原へ。歩いて、列車でめぐる 「トレイル&トレイン」12kmの旅
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- 釧路・阿寒・川湯・根室
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- 最終更新日: 2026年9月4日
1. 「トレイル&トレイン」とは?
「トレイル&トレイン」は、弟子屈町の一般社団法人「道東トレイルクラブ」が運営する、釧網本線沿線の自然を歩くトレッキング企画です。
JR釧網本線の駅を起点・ゴールに設定されていて、車を使わずに道東の自然を楽しめるコース設定。 行きは歩いて道東の風景を楽しみ、帰りは列車の旅を楽しむという、ふたつを一度に味わえる行程です。期間限定のスタンプラリー も行われていますが、もちろん期間後も一般のトレッキングコースとして歩くことができます。
2026年8月時点で5つコースが設定されています。今回はそのなかでもいちばん距離がお手軽で、拠点の都市・釧路からもアクセスしやすい「湿原コース」を実際に歩いてみました。 公式の説明では12.1キロメートル・約4時間のルートで、3時間以上のハイキングができる体力が推奨されています。
2. JR遠矢駅からJR釧路湿原駅まで、約12キロのトレッキング
8月のおわり、道東はすっかり秋の雰囲気。薄曇りながら、青空ものぞく爽やかな朝でした。釧路駅を8時47分に出発する網走ゆきの「しれとこ摩周号」に乗ると、8時58分に遠矢駅に到着します。遠矢駅まではレンタカーで行かれる場合も、駅前に広い駐車スペースがあるので問題ありません。
軽い準備運動を行い、9時半前に歩きはじめます。

▲釧路駅からはJRで2駅▲
跨線橋をわたり住宅街を抜けると、遮るもののない一本道が続きます。原野の向こうには阿寒の山並みが見え、足元ではススキが伸びはじめていました。トンボが飛び、野鳥の声。道東の原風景を歩きます。

▲跨線橋から▲

▲序盤は舗装路。遠矢駅にはトイレがありませんが、近くの「とおや交流館108」ゴルフ場「ぱぁーく108」でお借りできます▲

▲道内には開拓の歴史を刻む名前が、地名や橋にたくさん記されています。▲

▲町から数分も歩けば、民家もほとんど無くなりました▲
釧路のまちを臨む
20分ほど歩くと右手に見えてくる岩保木(イワポキ)踏切を越えると、道は林道に変わります。森歩きの雰囲気。「警笛鳴らせ」という、いまでは珍しくなった道路標識が立っていました。木々のあいだからは、遠くに釧路のまちが見えます。

▲アイヌ語「イワ・ポキ」が地名の由来▲

▲コース上唯一の曲がり角。舗装路から右折して砂利道になります▲

▲冬季は岩保木踏切を越えたところから細岡展望台までの区間は冬季通行止め▲
途中で休みながら、行動食のパンをかじりました。コンビニで買った、いつものあんぱん。自然のなかで食べるとどうしてこんなにおいしいのでしょう。森のなかから野鳥がガサガサっと飛び立ち、驚かされる場面も。熊よけの鈴と熊スプレーは、絶対に必要な装備です。

▲ゆる~い上り坂。ベンチも無いので地味にしんどい▲

▲画像では分かりづらいですが、釧路市街が見えます▲

▲車も熊も出会いがしらの事故が無いように十分に用心▲

▲緑のトンネルがとても涼やかで体力が回復します▲
細岡展望台からの絶景
細岡展望台に着いたのは12時15分。歩きはじめから、およそ3時間。遮るもののない釧路湿原の大パノラマ。海外からの旅行者も多く訪れていました。ここまで来れば、本物の北海道。道東を代表する展望だと思います。

▲釧路湿原の定番ビュースポット▲

▲看板▲

▲きれいに整備された展望台▲

▲細岡展望台の入口▲
細岡ビジターズ・ラウンジでひと息
ゴール地点にほど近い、細岡ビジターズ・ラウンジに入ったのが12時30分。入館は無料で、喫茶コーナーやソフトクリームなどの販売があり、売店にはカップラーメンなども並んでいます。小腹を満たすにはちょうどいいのですが、このあとご紹介する「ごほうび」を考えると、ほどほどに。列車を待つ時間は、館内の展示を見て釧路湿原の自然を学んだり、テラスでゆっくりとした時間を過ごせます。釧路湿原駅にトイレはありませんので、こちらで済ませておくと安心です。

▲細岡ビジターズ・ラウンジ▲

▲奥に売店があります▲
3. 釧路湿原駅から、列車の小旅行
細岡ビジターズ・ラウンジから徒歩5分ほどの場所にある、釧路湿原駅。ここがトレッキングのゴールとなります。森の中に佇む、ログハウス調の無人駅。やがて13時13分発の、1両だけの列車がやってきました。
※この列車を逃すと、次の釧路方面行き18時23分まで5時間以上あきます。時刻表は必ず確認してから歩いてください。

▲駅とは思えないほど森にマッチした駅舎です▲

▲細岡ビジターズ・ラウンジから駅までの近道の階段。結構急です。▲
釧路湿原駅から遠矢駅までは、あっという間の7分間。車窓からは、途中で越えた岩保木踏切と、さっき歩いた線路沿いの直線道路が見えました。つい数時間前の出来事なのに、ずいぶん遠くまで来ていた気がする探検のような3時間半だったと、振り返ることができました。
歩く足音、風に揺れる木々と葉、鳥の鳴き声。そして列車のジョイント音と車内放送。すべてが旅でした。

▲ここでも記念撮影▲

▲H100系。網走からの「しれとこ摩周号」▲

▲整理券。運賃は下車時精算ですが、現金のみなので事前に準備しておきましょう▲

▲7分で遠矢駅に戻ってきました▲
【おまけ】トレッキング後のお楽しみ・名物料理「ザンタレ」を堪能
遠矢駅から徒歩2分の場所に「南蛮酊(なんばんてい)」があります。釧路発祥の鶏料理「ザンギ」 に、甘酸っぱいタレをかけた「ザンタレ」。その元祖と言われる店です。

▲南蛮酊外観▲
ザンタレはここを訪れる客のほとんどが注文する人気メニューで、他店では「大盛りサイズ」とされるくらいの量が、普通サイズとして出てきます。歩いたあとですから、おいしさは倍増。背徳感も、少し和らぐ気がしました。こちらのお店は月曜と火曜が定休日。歩く日を決めるときは、ここも合わせて確認しておくとよさそうです。

▲まさに山積みのザンギ▲

▲今回はレギュラーサイズを2人でシェア。「ハーフ」サイズもあります▲
車がなければ道東は周れない。そう思っていましたが、駅と駅のあいだにも、歩いて出会える景色がありました。歩いて楽しむ道東の旅もいかがでしょうか。
【南蛮酊で食事をされる場合のアドバイス】
JRで釧路市街に戻る場合は18時31分発まで列車がありません。南蛮酊から徒歩10分ほど離れた「遠矢公民館」からは、15時発イオン釧路行きのバスで釧路市街に戻ることができます。網走方面へ向かう方は、時間的にタイトですが14時25分発があります。なお16時41分発が川湯温泉より峠を超える斜里・網走方面の最終列車になります。どちら方面に向かうとしても先のスケジュールはしっかり把握しておきましょう。

山﨑 陽弘(やまざき あきひろ)
1975年、大阪府生まれ。32歳の時に「趣味のオートバイで訪れ、その雄大さに魅了された」北海道・道東に移住しました。現役の男性看護師として地域医療・福祉にも尽力しながら、地域の魅力を発信しています。
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