最果ての絶景路線「花咲線」のススメ|撮影地や周辺の見どころをご紹介
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- 釧路・阿寒・川湯・根室
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- 最終更新日:2025年6月18日
花咲線の絶景
花咲線の魅力といえば、何といっても車窓から広がる大自然の絶景。釧路から根室までの約135kmにわたり、北海道ならではの雄大な風景が続きます。
まず目を奪われるのが、厚岸(あっけし)湾。汽水湖と海が織りなす青と緑のコントラストは、列車の中からでも十分に美しさが伝わってきます。
続いて、別寒辺牛湿原(べかんべうししつげん)は、ラムサール条約にも登録された貴重な自然環境。その中を列車は走り抜けます。春から夏にかけては水辺に野鳥が舞い、冬には霧氷が幻想的な雰囲気を醸し出します。
列車はさらに先に進み、落石(おちいし)岬付近では太平洋と断崖絶壁のドラマチックな風景が展開。晴れた日にはまるで映画のワンシーンのような眺めが楽しめます。
また、花咲線ではエゾシカとの出会いも珍しくありません。列車が急停車してしまうこともあるほどで、まさに“自然の中を走る鉄道”を実感できます。
終点の根室駅は、日本最東端の駅。夏でも「寒い!」と感じるくらい1年を通じて冷涼な気候の根室半島。一歩プラットホームに降り立てば、遠くに来たという旅情感を肌で感じられます。
花咲線の一部列車は展望の良い区間を徐行して運行します。他にも夏季のハイシーズンは海側の座席を一部指定席にし、車両を増結して運行するなど、快適に楽しんで乗車できるよう配慮されています。
花咲線の沿線ではスマートフォンで使える無料の音声ガイドアプリ「ココシル®」が用意されています。花咲線の紹介や、位置情報と連動し厚岸町の別寒辺牛湿原の生態系、落石岬の見どころなどを解説してくれるため、初めての方でも列車が走る地域を深く知ることができます。
参考:JR北海道 いつもの列車で観光気分〜花咲線のあじわい方〜
花咲線の定番撮影スポット
落石〜別当賀駅間の海岸線
花咲線の人気定番撮影スポットといえば「落石カーブ」。太平洋を背景に、列車がゆるやかなカーブを描いて走る絶景ポイントです。広がる海と線路のコントラストが美しく、晴れた日も霧の日も特にフォトジェニック。鉄道ファンなら一度は訪れたい場所です。
訪れる際は、熊よけの装備が必須となりますのでご注意ください。
厚岸〜門静駅間、国道44号線沿いから
厚岸の「あっけし望洋台」付近は、花咲線と厚岸の街並み、そして広がる太平洋を一望できる絶景スポット。高台から見下ろす列車と湾の風景は、季節や時間によって表<情を変え、旅情たっぷり。鉄道と海と町が調和した、花咲線ならではの雄大な風景を写真に収められます。
厚岸〜旧糸魚沢駅間
厚岸町の「厚岸水鳥観察館」付近からも、別寒辺牛湿原を縦断する花咲線の列車を望むことができます。広大な湿原を背景に列車が一直線に走る姿は、自然と調和した美しい風景を演出します。四季折々の景色とともに、鉄道写真の絶好のポイントとして人気です。
このあたりは過去に旧糸魚沢駅へ向けた直線を撮る撮影ポイントがありましたが、現在は道路の法面工事が行われ、撮影ポイントへの到達が非常に難しくなっています。
別当賀(べっとが)駅
荒涼とした大地にぽつんと存在する、旧車掌車を待合室にした簡素な駅。花咲線の中でも特に静かな無人駅で、素朴な佇まいが旅情を誘います。
花咲線沿線の観光〜途中下車してみよう!〜
根室駅
日本本土最東端の駅として知られる「根室駅」は、花咲線の終着駅であり、旅の一区切りにふさわしい特別な存在です。駅前には「日本最東端の駅」のモニュメントがあり、記念撮影スポットとしても人気。駅からは市街地や納沙布岬方面へのアクセスも良く、根室グルメや歴史散策の拠点にもなります。旅の達成感とともに、根室の街歩きや海の幸もぜひ楽しんでみてください。
関連記事:北海道最東端の街・根室観光ガイド 【2025完全版】
また根室駅から日本本土最東端の納沙布岬を訪れるなら、定期観光バス『ねむろ半島遊覧バス「のさっぷ号」』の利用が便利です。このバスは、JR花咲線の根室駅10時53分着の列車に接続し、11時10分に駅前のバスターミナルから出発します。
春国岱原生野鳥公園ネイチャーセンター、道の駅スワン44ねむろ(休館日は金刀比羅神社)、北方四島交流センターなどを巡り納沙布岬を訪れるので、根室半島を効率よく満喫できます。15時50分に根室駅前に戻るため、16時10分発の釧路ゆき列車に乗車が可能。釧路からの日帰り観光にも最適です。
※2025年は10月31日までの毎日運行
関連HP:ねむろ半島遊覧バス「のさっぷ号」
厚岸駅
厚岸駅は、海と湿原を有する風光明媚な町・厚岸町にある花咲線の途中駅。中でも有名なのが、駅前の「氏家待合所」が手がける名物駅弁「かきめし」。昭和25年から愛され続ける厚岸名物の一品で、秘伝のタレで炊き込んだご飯にプリッとした牡蠣がたっぷり。事前に予約しておけば、列車到着時にホームで受け取ることもできる特別感も魅力のひとつです。花咲線の旅に、絶品の味わいを添えてくれます。
- 住所
- 北海道厚岸郡厚岸町宮園1丁目15
- TEL
- 0153-67-8090
- 営業時間
- 10:00-15:00 木曜日定休・年末年始その他不定休あり
- 備考
- お弁当の予約は営業時間内・到着の2時間前まで。1つから可能
浜中駅・茶内駅
花咲線沿線にある浜中町は『ルパン三世』の作者、モンキー・パンチさんの故郷。浜中駅と茶内駅の素朴な駅舎のあちこちに、ルパンやその仲間たちをモチーフとした装飾が施されています。
浜中町の町中にも”ルパンスポット”がありますよ♪
関連HP:ルパン三世 はまなか宝島プラン
落石駅
観光雑誌ではあまり紹介されない、花咲線屈指の“通好みな途中駅”が落石駅。手つかずの自然と、太平洋の海岸の風景が広がる中を約3時間歩く絶景フットパス「浜松フットパス」のスタート地点がこの落石駅です。
また鉄道ファンにはおなじみの番組、NHK『呑み鉄本線・日本旅』で六角精児さんが訪れた「朝日食堂」の最寄り駅。89歳の店主がひとりで営むレトロな食堂で味わえる名物「シマエビラーメン」は、途中下車して食べたい価値のある一杯です。
- 住所
- 北海道根室市落石東403
- TEL
- 0153-27-2525
- 営業時間
- 11:00-14:00 土・日曜日定休 その他不定休
- 備考
- アクセス:落石駅から約2.2㎞ 車で約5分、徒歩約30分
花咲線乗車アドバイス
花咲線は釧路駅・根室駅・厚岸駅以外はすべて無人駅です。無人駅停車時は進行方向最前方のドアしか開きません。
無人駅から乗車するなどきっぷを事前購入していない場合は、ドア付近の発券機から整理券を取って乗車します。整理券の清算は、無人駅では降車時に運転士さんに現金精算、有人駅下車時は駅の改札口で清算してください。
なお花咲線の沿線はすべての駅改札口や車内で交通系ICカードは使えません。有人駅にあるみどりの窓口での購入以外は現金のみの取扱いとなりますが、厚岸駅と根室駅は終電前に窓口業務が終了し、無人駅と同じ取扱いとなります(厚岸駅15:10、根室駅は16:10で窓口業務が終了)。
そのため花咲線乗車時は、ある程度の現金を持ち合わせていた方がいざという時に安心です。

山﨑 陽弘(やまざき あきひろ)
1975年、大阪府生まれ。32歳の時に「趣味のオートバイで訪れ、その雄大さに魅了された」北海道・道東に移住しました。現役の男性看護師として地域医療・福祉にも尽力しながら、地域の魅力を発信しています。
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