地の果ての景色「トドワラ」|道東・野付半島にあるトドマツの立ち枯れが本当に残り僅かだった
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- 釧路・阿寒・川湯・根室
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- 最終更新日:2025年8月1日
かつては森だった場所が、海水や風など自然の摂理によって姿を変え、立ち枯れた木々が静かに佇み、白化した木はまるで終末的な雰囲気すらも感じさせます。
しかしこの姿は、年々驚くほどの速さで幻となっているのです。
もくじ
トドワラの現状
トドワラは北海道の東海岸、別海(べつかい))町の野付(のつけ)半島にある、立ち枯れしたトドマツ林のこと。”トドマツの原っぱ”を語源としていて、かつて野付半島の先端近くに広がっていたトドマツの多い森が、地盤沈下や海水の浸食・風化によって朽ち、立ち枯れ林となりました。
広々した空と海、それに白化した幹や枝が地の終わりを感じさせ、どこか寂しさを漂わせながら見る人の心に深い印象を残します。
▲2025年7月時点、立ち枯れは10本にも満たない▲
▲別角度から。一度訪れた事ある方は立ち枯れ・朽木の減り方に驚かれるかもしれません▲
▲トドワラ今昔比較。昔は立ち枯れも朽木も多い▲
暴風や高波などにより、立ち枯れ・朽木どちらもだいぶ少なくなっていました。あとどれだけ見られるのか、まさに失われつつある景色と言えます。
トドワラの変遷に関しては、別海町観光船が公開されている画像がとても分かり易いので参照してみてください。
トドワラへの行き方
野付半島ネイチャーセンターから歩いて
トドワラ観光で一番メジャーなルートは、根室中標津空港から車で約40分の場所にある「野付半島ネイチャーセンター」から徒歩で向かうパターン。
徒歩パートは片道約1.5km所要時間約30分、遊歩道と高架木道が整備されていて、途中には簡易水洗トイレ(降雪期は使用不可)があります。エゾカンゾウやセンダイハギ、ハマナスなど季節の野花が咲き、近くに姿を見せるエゾシカたちが目を楽しませてくれるでしょう。
休憩や撮影を考慮すると、往復の所要時間は約90分ほど。
▲野付ネイチャーセンター。野付半島の観光拠点▲
▲前半遊歩道は25分ほど▲
▲エゾジカやキツネなどが見られる事も多いです▲
▲遊歩道のおわり・木道のはじまりにお手洗いのある休憩スポット▲
▲木道は5分ほどで途切れ、その先に最後の立ち枯れがある▲
▲木道も秘かな人気フォトスポット。季節や時間で景色が変わる▲
- 住所
- 北海道野付郡別海町野付63
- 営業時間
- 4月~9月 9:00~17:00/10月~3月 9:00~16:00 年末年始休業あり
- 備考
- レストランの営業時間は異なります
トラクターバス(夏季限定・有料)
徒歩以外では、ネイチャーセンター前から木道の始点まで運行されている「トラクターバス」があり、徒歩約25分の遊歩道区間を約7分ほどで結びます。夏季限定の運行で、片道500円、往復は1,000円。9:30~16:00の間、時刻表は無く人が集まり次第出発です。
遊歩道に沿って運行され、少し高い位置から周辺の景色を楽しめます。
尾岱沼から観光船で
野付半島の付け根にあり、トドワラから30キロほど離れた港町・尾岱沼(おだいとう)からは、野付湾を巡る観光船が運航されています。船上からはトドワラの立ち枯れ林や、広大な干潟、海に浮かぶ野鳥の姿や国後島を間近に観察できる3つのクルージングコースが3艘の船で運行されており、陸とは違った角度から野付半島を体感できます。
夏の時期には、運が良ければアザラシが海に顔を出すことも。大潮の干潮に合わせて期間限定で運行する「アザラシウオッチングコース」や自然の中に溶け込むような各種のコースは、豊かな野付の旅を演出してくれます。ネイチャーセンターや徒歩で見る姿とはまた違う視点で、野付半島の魅力に触れてみてください。
完全予約制ですので、出発時間、料金など詳細は事前に各自ご確認ください。
- 住所
- 北海道野付郡別海町尾岱沼港町
- 備考
- 観光船は完全予約制
トドワラと一緒に見たい!野付半島の見どころ
ナラワラ
野付半島ネイチャーセンターへ向かう途中で、ミズナラ(ミズナラを中心に、ダケカンバ・ナナカマド・エゾイタヤなどによる林)の立ち枯れ「ナラワラ」があります。
道道沿いにナラワラ展望スペースが設けられているので、キツネやエゾジカなどの動物、夏は原生花など野付半島の自然を感じながら休憩してみてはいかがでしょうか。
▲越冬のため訪れるオオワシなど猛禽類は道東ならでは!▲
氷平線
冬になると、水平線ならぬ氷平線が野付半島では見られます。なーんにも無い景色がなんともフォトジェニック。
※冬季は野付半島ネイチャーセンターが主催する氷平線ツアーの参加が必須となります
- 備考
- トドワラ氷平線ウォーク 大人4,500円 氷平線ソリ―ツアートドワラコース 大人2,000円
流氷
野付半島の第2しべつパーキングは流氷の隠れビュースポット。天気のいい日は知床連山が海の向こうに見えます。
おわりに~トドワラは確実に減っているけど~
数年ぶりにトドワラを訪れてみて、その立ち枯れ・朽木の減り様に正直驚いてしまいました。
風と海がつくり出した、消えゆく絶景「トドワラ」。その姿は訪れるたびに少しずつ変わりながら、四季折々に違った表情を見せてくれます。同じ景色には二度と出会えないからこそ、今この瞬間だけの風景を、ぜひ感じてみてください。

山﨑 陽弘(やまざき あきひろ)
1975年、大阪府生まれ。32歳の時に「趣味のオートバイで訪れ、その雄大さに魅了された」北海道・道東に移住しました。現役の男性看護師として地域医療・福祉にも尽力しながら、地域の魅力を発信しています。
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