北海道下川町「くらしごとツアー」|仕事と暮らしがゆるやかに繋がる「ワーク・ライフ・リンク」な生き方を探る【寄稿】

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下川町イメージ

モノや人が多い都会ではなく、地域で自分の暮らしを作り、築いていく生き方に注目が集まる昨今。

都会の喧騒に疲れて人の少ない地域へ逃げる……というのが旧来の“移住”のイメージだとしたら、ここ数年でその実態は大きく変わってきています。

「何かを生み出したい!」「夢の実現に近づきたい」という目的や目標を掲げて、前のめりに地域での暮らしを選ぶ若い人(20代〜30代)が少しずつ増えているように感じます。

北海道下川町も、そんな人々に選ばれている町の一つ。
人口約3,400人の森林に囲まれた町では、若者を中心に町外から移住してくる人々が、ここ数年で増えつつあるのです。

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でも、興味を持った地域に、何の縁もゆかりもない中いきなり移住するのは、ちょっとハードルが高いもの。

家は? 仕事は? 同世代はどれくらい? 病院やお店はどこにあるの?

どこで暮らすにしろ、生活する場所を選ぶとなると気になることは山ほどあります。

そこで下川町では、より町内での暮らしがイメージしやすくなるように、興味のある分野ごとにテーマを決めて夏と冬に2回ずつ、全部で4回「くらしごとツアー」という体験ツアーを実施しています。

この夏の第一回目が、よく晴れた夏の空の下、2017年7月22日(土)〜23日(日)で実施されました。
参加した方々の目に、下川町はどんな風に映ったのでしょうか?

※本記事は、下川町産業活性化支援機構タウンプロモーション推進部様による寄稿となります。

森と生きる町・北海道下川町とは

下川町は、60年以上前から、木を植えて育て、伐採し、また植えるという循環型森林経営を行ってきた町で、面積の9割が森林です。
その身近な素材を、川上から川下まで無駄なく町内で活用しているのが下川町の魅力の一つです。

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林業の他にも、農業も基幹産業の一つです。
町内ではフルーツトマトやホワイトアスパラ、「ハルユタカ」という小麦を作っています。

起業家向け「くらしごとツアー」スタート!1日目は町内の事業者さん訪問へ

さて、そんな下川町でのツアー日程は、こんな感じ。

起業をしたい方々向けのツアーですので、地域で事業を立ち上げ、どのように運用しているのかを学べるプログラムです。

■1日目
 NPO法人森の生活 訪問
 株式会社フプの森 訪問
 阿部養鶏場 訪問
 1日の振り返り
 懇親会

■2日目
 まちさんぽ
 下川町全体の今までの取り組み、これからの話
 木質バイオマス施設見学
 しいたけ工場見学
 昼食
 振り返りを兼ねたワークショップ

下川町内で起業をして自分で生業を作っている人、脈々と続いてきた事業を継ぎ、新しい形で発展させている人、町全体の林業・林産業の取り組みと、その実態……それらのすべて、とはいきませんが、代表的なものをご紹介する旅程です。

今回集まってくださった参加者の方々は、道内から、そして道外からもいらっしゃいました。

まずは全員で自己紹介。今回は「人生グラフ」という自分の転機をいくつか書いたグラフを書いて、どういうバックグランドがあるのかをシェア。
「ついこの前、会社を辞めました」という方や「最近、好きなことを本当に仕事にできるのか実験を始めました」など、人生の転機に下川町を選んでくださったようです。

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自己紹介を終え、まずは訪問1軒目。早速NPO法人「森の生活」の事務所へ。
「森の生活」では、町内の幼稚園生から高校生まで、森林環境教育を実施。
森のある暮らしを、小さい頃から体感することができるのは、豊かな森林に囲まれた町の特権です。

また「みくわの日」という町民主催の森遊びイベントもサポート。
町内や町外からの参加者を募って、森の中を散歩したり、木々を使ったモノづくり体験を提供したりしています。

下川町イメージ森の生活の事務局長・成田菜穂子さん(右)

NPO法人格でどこまで事業を展開・継続できるか。
そしてその根底にある想いは、どれくらい実現できているのかについて、率直な部分も伺えました。

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次に訪問したのは森林組合から独立して、エッセンシャルオイルやアロマミストなどを製造・販売している「フプの森」へ。

代表取締役の田邊真理恵さん直々に、会社の立ち上げの経緯から、トドマツの香りやアカエゾマツの希少性などを、実際に製品の香りを体感しながらお話を伺いました。

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下川町イメージ針葉樹を蒸留して精油を取り出す

「アカエゾマツの香り、すごく好きなんです!」と目を輝かせて、実際に商品を購入された方も。
ものづくりの現場は、直接作っている方々の思いを知ることのできる醍醐味があります。

実際に真理恵さんにシュッと試しにひと吹きしていただいたミストに鼻を近づけると、まるで森に包まれているような香りが。愛着もより一層わいてきます。

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次は、創業50年以上の、株式会社阿部養鶏場(http://www.abe-youkei.com/)へ。

ここは、下川町在住の阿部勇夫さん(現・下川森林組合組合長)が立ち上げた養鶏場で、2016年に株式会社イーストンという飲食店を経営する会社が引き継ぎました。
会社が養鶏場を承継するのは全国的に見ても珍しく、関係者からは熱い注目が集まっているといいます。

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「自分が食べているものがどこから来ているのか、その現場を生で見る機会はないので、とても貴重な経験をさせてもらった」という声も。

実際に2017年から下川町に移住し、養鶏場に就職した方(20歳の若者!)のお話も伺うことができました。

8月には養鶏場内に新しい鶏舎が立つとのこと。
企業が地元の事業を継いでアップデートしていくことは簡単ではありませんが、新しいビジネスの可能性もぐんぐん広がっているようです。

1日を振り返る。そして夕食は名店「アポロ」へ

ぐるりと町内の事業者さんのところを見学させていただき、明日の朝食を町中で調達。
実際に町内の飲食店や商店へ足を運ぶのも、町を知る上で大事なポイントです。

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そして下川町内でも新しい施設「まちおこしセンター コモレビ」に戻り、それぞれ見学して感じたことや勉強になったことをメモする時間をとりました。

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少しだけ、お互いに簡単に思ったことをシェア。

好きなもの、ことを実際に仕事にしていたり、事業として回せたりしていることに感銘を受ける、という感想も。

今回のツアー参加者の方々には林業・林産業に興味がある方も多く、下川町内で木材が川上から川下まできちんと活かされ、それでしっかりビジネスが成り立っている環境に、刺激を受けたというお話も多く聞かれました。

夕食は、下川町出身のスキージャンプの葛西紀明選手も行きつけだという「アポロ」へ。

名物のナポリタンと鹿肉はもちろん、マスターお手製の温かい料理に舌鼓を打ちながら、今回のツアーへ参加するまでの背景や、それぞれやりたいことなど話題が尽きない夜でした。

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2日目。循環する森林(もり)の仕組みを学ぶ

2日目は、朝、少し町内を歩いて散歩。
夏の下川町は日が昇るのが早く気温も低いため、朝のさわやかな風が新鮮だったという感想も聞かれました。

散歩を終え、まずは下川町役場の環境未来都市推進課から、町全体の歴史と取り組みの変遷、そしてこれから目指す「エネルギー自給100%」というビジョンについて学ぶ時間です。

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材木に使えない端材や木っ端は、木質バイオマスボイラの燃料として使っている下川町。
公共施設の6割の熱供給は、このボイラで賄われ、経費節約になっています。

では、このボイラ、どれくらいあったかく、どのように活用されているのでしょうか? ということで、実際に現場も見に行きました。

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やって来たのは市街地から15分ほど車を走らせたところにある一の橋地区。
1950年代は、今よりも賑わっており、劇場などもあった地域です。

今は、この木質バイオマスボイラの熱が、お年寄りから単身者までが住める集住化住宅に供給されており、「一の橋地区バイオビレッジ構想」のモデルとしてエネルギー自給を目指す自治体や企業からの視察を受け入れています。

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中に入ると、むわっとする暑さ。

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ボイラの中で燃料が燃えて、温水が管を通って集住化住宅へ供給される仕組みです。

下川町は冬になるとマイナス30度になることもある厳寒な地域ですが、これで冬でもあったかい!

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そしてこの熱、住宅への供給だけではなくハウス栽培でも使われています。
一の橋では、適温を保つのに熱が使われ、通年で菌床しいたけを栽培しています。

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人口が急激に減少してしまった一の橋地区ですが、こうしてしいたけ工場ができたことで、徐々に雇用が生まれているとのこと。

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下川町産のしいたけは、道北を中心に販売していて、お客様から美味しいと評判の一品。旭川まで出荷しているそうで、もし見つけた方はぜひ食べてみてくださいね。

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さらに、集住化住宅には「駅カフェイチノハシ」というコミュニティカフェも併設しています。

ここを運営しているのは、全員地域おこし協力隊として移住して来た方々。
通称“駅カフェ”として、今や地元住民の憩いの場としてはもちろん、町外からもわざわざ足を運ぶ人がいるくらいの名店です。

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駅カフェでランチをいただき、市街地に戻って来ました。

最後に2日目に見学した町の取り組みや施設の感想を記録し、自己紹介時に使った「人生グラフ」の発展版として「未来の人生グラフ」も作ってみました。

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2日間という短い期間でしたが、それぞれのやりたいことや好きなことが、今後どう発展できそうか、下川町の目指す未来と重なる部分があったかどうか。
規模や方向性は様々ですが、これからの生き方として「下川町への移住」という選択が加わった方もいらっしゃいました。

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最後は全員で記念撮影。地域との関わり方は人それぞれですが、まずは下川町の取り組みと環境、そして暮らしている人の生の声に触れるのが一番手っ取り早く、そしてイメージしやすいものです。

今回は起業家志望者向けのツアーということで、事業内容や仕事の話が中心でしたが、下川町は起業以外でもそれぞれの目的・意思を持っている方でも歓迎します。

9月15日〜17日では、秋バージョンの「くらしごとツアー」を実施。
今回のツアーは1泊2日と駆け足でしたが、9月に行うツアーは2泊3日で、もう少し違った角度から、下川町をご案内する予定です。※こちらはすでに満員御礼になりました。

新しい“サステナビリティ”を考える、しもかわ暮らし体験ツアー
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詳細はこちら:http://shimokawa-life.info/event/#03

森の中を歩いたり、実際にエネルギー自給ってどんな生活なのかを体験するプログラムがあったり……。

より「下川で暮らしたら」というイメージを膨らませやすいツアーです。

9月は定員に達してしまったのですが、1月と2月にも実施予定。
観光地にはない、知る人ぞ知るローカルな下川町の魅力が詰まっています。

表面だけでは分からない、下川ならではの“暮らし”を体感してみてくださいね。

※本記事は、下川町産業活性化支援機構タウンプロモーション推進部様による寄稿となります。

北海道ラボでは、地域活性化やまちおこしなどを公益性の高い題材について、寄稿記事の紹介も承っております。
(題材により審査のうえ判断いたします。)
ご希望の地域団体様は、どうぞお気軽にお問合せくださいませ。

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