知床クルーズ完全ガイド!羅臼とウトロのクルーズの魅力を徹底比較!
- 網走・北見・知床
- 最終更新日:2025年1月10日
はじめに
北海道の中でも、自然の魅力が詰まった知床。その自然を大満喫できるのが「知床クルーズ」。道内でも人気の観光スポット・アクティビティとしても人気が高い知床クルーズですが、知床半島の東側の羅臼(らうす)町、西側のウトロ側で、全く違う地形・生態系をみることができます。
せっかく知床まで足を運ぶなら大満喫して帰ってほしい!そう強く願う地元民が、知床クルーズを120%楽しむための「東側・羅臼」と「西側・ウトロ」の違いと魅力をご紹介します!
また、2022年にあった知床遊覧船沈没事故をうけて各社が取り組んでいる安全対策や予約の流れなど、知床クルーズを安全に楽しむためのノウハウも合わせて教えます!
知床クルーズの全貌!
知床は、北海道の中でも自然豊かで固有の地形・生態系を維持しています。そんな知床の魅力を思う存分体験できる知床クルーズについてみていきましょう!
知床ってどんなところ?
いきなりですが、皆さんは知床の語源をご存じですか?
知床はアイヌ語のシリ・エトクが由来となっており、大地の突き出たところ・地の果てという意味になっています。そのような北海道の東側の先端に位置する知床半島は、海底火山によって作り上げられた半島です。
現在も、手つかずの自然が残っており、「海・川・森」が支え合う環境によって、独自の生態系を形成し、絶滅危惧種を含む多くの生物たちが生息していることから、知床は2005年7月に「世界自然遺産」に登録されました。
そんな知床は知床連山を境に、半島の西側と東側で斜里町ウトロと羅臼町に分けられています。そして、その2つの地域では、全く違う地形が見受けられます。
羅臼とウトロ、2つの知床クルーズの魅力
羅臼とウトロの観光において、一番おすすめしたい体験は、どちらの港からも出航しているクルーズです。
羅臼町から出港するクルーズは鯨類を観察しに行くクルーズ。
ウトロ側から出港するクルーズは景観やヒグマを見に行くクルーズになっています!
同じ知床でも、西側羅臼町と東側ウトロでは、海域の特性上、全く異なったくるクルーズを行っています。詳しくは下の「羅臼側 vs ウトロ側 –
知床クルーズで見る風景と動物の違いを徹底比較」で説明していきます!
知床観光船の安全対策について
まず、2022年に遭った知床遊覧船沈没事故につきまして、ご遺族の皆さまに心よりお悔やみ申し上げます。
この事故があり、クルーズへの乗船に関して不安に感じる方も多くいるのではないでしょうか。
知床に来ていただき、安心安全に知床クルーズを楽しんでいただきたいと願う、知床地域の観光船事業者が行っている現在の安全取り組みについてご紹介していきましょう。
具体的には、
・運行前の点検やメンテナンスの徹底
・他船との連絡体制の強化
・気象条件の慎重な判断
・漁船とのコミュニケーション強化
・単独での出航禁止
を行っており、各事業者が協議会において、厳格なルールを再度徹底し、それらを厳守し運航しています。
各社の取組詳細については、各団体の取り組みをご覧ください。
羅臼側 vs ウトロ側 – 知床クルーズで見る風景と動物の違いを徹底比較
羅臼側のクルーズとウトロ側のクルーズの違いを具体的に比較していってみましょう。一見知床クルーズと一括りにされがちですが、実際にツアーに参加した方からは、ウトロ側に参加して、「シャチが見れると思ってた!」など、見れると思っていた景色や動物が違うクルーズだったというお声を聴くこともあるので、各エリア側で催行されている知床クルーズの特徴や見どころをしっかり抑えておきましょう。
羅臼の特徴
羅臼では、夏場と冬場に野生動物を探しに行くクルーズを行っています。
・夏シーズン
夏はイルカ、シャチ、クジラを見に行くホエールウォッチングのクルーズを行っています。
羅臼町は、対岸に国後島があります。国後島との間は渓谷のようになっていて、知床半島先端部はかなり深くなっています。
しかし、この海域は南西にいくにつれてどんどんと浅くなっていくため、天然の定置網のような形になっています。
そこには、親潮に乗ってきたたくさんの魚種の魚たちが根室海峡に留まり、生息しています。
その豊かな魚を捕食するために、イルカ、シャチ、クジラ等の大型の鯨類が多くやってくるのです。
・冬シーズン
冬には、流氷やオオワシ、オジロワシを見に行く流氷&バードウォッチングクルーズを行っています。
羅臼町は、流氷が来る世界で最南限の場所とされています。
しかし、冬場になると北東の風が頻繁に吹くような地域になっているため、流氷がどんどんと沖にながされていきます。そのため、冬場にも船を出航させることができます。
また、冬場は羅臼町では、スケソウダラの最盛期になっています。冬場に出航した漁船のおこぼれをもらい、越冬するために、ロシアのカムチャッカ半島から絶滅危惧種・天然記念物のオオワシとオジロワシが毎年800羽以上やってきます。
羅臼側のみどころ
何といっても、羅臼のクルーズの一番の見どころは野生のシャチやマッコウクジラなど、大迫力の海の生き物たちに出会えること!
夏シーズンは4月末~7月上旬まではシャチ、7月中旬~10月上旬まではマッコウクジラの時期です。野生のシャチを見る事ができるのは日本では羅臼町だけなので、とても貴重です!もちろん、イルカなども見られます。
運がよければ、シャチやイルカの群れや、15メートルを超える大迫力のマッコウクジラに出会えることも!!さらには、アルビノと言われている白色のシャチをみることもできます!その壮大さに感動すること間違いなしです!
また、毎年やってくるハシボソミズナギドリという鳥を見ることもできます。
この鳥は、餌を求めてオーストラリアから数千匹~数万匹という数でやってきます。1年間で約三万キロ以上も飛んでくる、とても移動距離が長い渡り鳥の一種です。体調約40cm、羽を広げると1mほどにもなり、それが一気に水面から飛び立つ様は圧巻です!
冬シーズンは、流氷がやってくる静かな海に、800羽以上のオオワシ、オジロワシがやってきます。これだけのワシたちを見ることができるのは、世界で見てもここ羅臼町だけです!極寒の地に降り立つ、空の王者の姿は、一瞬寒さも忘れてしまうほど!
冬の日の出の便では、朝日、ワシ、流氷の写真を撮影するために世界中からバードウォッチャーの方々が来る場所になっています。
羅臼側からのアクセス
羅臼町へは、斜里町ウトロから知床峠を通り知床半島を横断する方法と、南隣の標津町から北上してくる2種類の方法があります。来る方向、レンタカーとバス、夏と冬に分けて説明します。
・レンタカーで行く方法
1)ウトロ側からのアクセス
シーズン | おすすめ度 | 所要時間 | アクセス方法 |
---|---|---|---|
夏 | ◎ | 片道約40分 | 知床横断道路を利用 |
冬 | ○ | 片道約2時間半 | 知床横断道路積雪通行止めの為、国道334号線南下~国道244号線根北峠~国道335号線北上 |
2)中標津空港からのアクセス
シーズン | おすすめ度 | 所要時間 | アクセス方法 |
---|---|---|---|
夏 | ◎ | 約1時間半 | 国道272号線~国道335号線北上 |
冬 | ◎ | 約1時間半 | 国道272号線~国道335号線北上 |
・バスで行く方法
1)ウトロ側からのアクセス
シーズン | おすすめ度 | 所要時間 | アクセス方法 |
---|---|---|---|
夏 | △ | 片道約40分 | 知床横断道路を利用※羅臼側のクルーズの時間が合わないため羅臼での宿泊が必要。または、片道タクシー利用が必要¥13,000円程度 |
冬 | × | アクセス方法なし | アクセス方法なし |
2)中標津空港からのアクセス
シーズン | おすすめ度 | 所要時間 | アクセス方法 |
---|---|---|---|
夏 | ○ | 約1時間半 | 根室交通→阿寒バス |
冬 | ○ | 約1時間半 | 根室交通→阿寒バス |
ウトロの特徴
ウトロ側のクルーズは、夏シーズンのみの運航となります。夏場のクルーズでは、知床の美しい景観、野鳥、ヒグマ等を見ることができます。
逆に、冬場はぎっしりと流氷が敷き詰まってしまうため、漁船をはじめ、すべての船を出航させることができません。
夏シーズンのウトロの観光船は2種類あります。定員が400名の大型船。もう一方が定員が40名~80名程度の小型船が船が運航しています。
大型船は揺れが少なく、広々とした船内でゆったりと知床半島を眺めることができます。一方で小型船は、小回りが利きやすいため、沿岸を走ることができます。
ウトロ側のみどころ
ウトロ側のみどころは何と言っても雄大な景観と、その景観の中にたたずむヒグマや様々な珍しい海鳥を観察することができることです。
また、ウトロ側は、流氷の影響で断崖が削られているため、水深が一気に深くなっています。そのため、座礁の心配が少ないことから、小型船では岸沿いを走ることができます。船で断崖ぎりぎりまで寄り、数十メートルほどある断崖を下から眺めることができます。
また、そこには、世界的に数が減少しており、絶滅危惧種に指定されているケイマフリやウミスズメといった珍しい海鳥が住んでいて、その海鳥たちを間近に観察することができます。
ケイマフリは赤い足をしており、その足を見ると幸せになるといわれていますよ!
また、アイヌ語で神の水を意味するカムイワッカの滝や、知床で最もきれいだと言われている硫黄の滝、ヒグマのメッカ、ルシャ湾など、海からでないと楽しめない知床の美しい景観を眺めることができます。
さらに運が良ければ、エゾシカや天然記念物のオジロワシ、山の王者ヒグマなどもみることもできます。
ヒグマは実際に陸で会ってしまうと、とても危険な生き物です。しかし、船の上からだと安全にじっくりと観察することができます!秋になると川に降りてきて、サケやマスを捕食しているシーンも見ることができるかもしれません!
また、乗船中は、景観や、奇岩石、動物等はベストなタイミングで船内放送にて船長さんがガイドをしてくださるので、見落としすることがなく楽しむことができます!
ウトロ側のアクセス
斜里町ウトロへは、羅臼町から知床峠を通り知床半島を横断する方法と、斜里町側から北上してくる2種類の方法があります。来る方向、レンタカーとバス、夏と冬に分けて説明します。
・レンタカーで行く方法
1)ウトロ側からのアクセス
シーズン | おすすめ度 | 所要時間 | アクセス方法 |
---|---|---|---|
夏 | ◎ | 片道約40分 | 知床横断道路を利用 |
冬 | ○ | 片道約2時間半 | 知床横断道路積雪通行止めの為、国道335号線南下~国道244号線根北峠~国道334号線北上 |
2)女満別空港からのアクセス
シーズン | おすすめ度 | 所要時間 | アクセス方法 |
---|---|---|---|
夏 | ◎ | 約1時間半 | 国道272号線~国道335号線北上 |
冬 | ◎ | 約1時間半 | 国道272号線~国道335号線北上 |
・バスで行く方法
1)ウトロ側からのアクセス
シーズン | おすすめ度 | 所要時間 | アクセス方法 |
---|---|---|---|
夏 | △ | 片道約40分 | 知床横断道路を利用※ウトロ側のクルーズの時間が合わないためウトロでの宿泊が必要。または、片道タクシー利用が必要¥13,000円程度 |
冬 | × | アクセス方法なし | アクセス方法なし |
2)女満別空港からのアクセス
シーズン | おすすめ度 | 所要時間 | アクセス方法 |
---|---|---|---|
夏 | ○ | 約1時間半 | 斜里バス |
冬 | ○ | 約2時間半 | 斜里バス |
知っておきたい!知床クルーズ乗船の基本情報
知床クルーズを大満足していただくためのベストシーズン、乗船時のおすすめの服装、持ち物等をご紹介させていただきます!
ベストシーズンはある?
前述したように、羅臼・ウトロどちらにおいても、観察できる動物ごとのベストシーズンがあります。
・羅臼側:
4月~7月上旬まで…シャチ
7月中旬~10月中旬まで…マッコウクジラ
1月下旬~3月上旬…オオワシ、オジロワシ
・ウトロ側:
4月~8月ごろまで…ケイマフリ
6月~8月ごろまで…アマツバメ
また、ヒグマは4月~5月ごろは沿岸の日当たりの良い場所に菜を食べに、9月~10月は遡上するサケを狙って川へ出てきているのを頻繁に見かけます。
服装
知床クルーズに乗船する際の服装を確認しておきましょう。海の上のため、服装は前もって対策・準備をすることをおすすめします。
<夏>
・ウィンドブレーカーやジャケット
・風よけのズボン
海上では風が吹くと体感温度がかなり下がります。春夏秋問わずウィンドブレーカーや何かしらの上着をもっていきましょう
<冬>
・帽子
・耳当て
・保温性のあるダウン
・スキーウェア等の冬用のアウター
・防寒ズボン
・手袋
・保温ができる靴
・カイロ
冬場は朝だと-15度付近まで下がるので防寒対策をしっかりしましましょう。カイロ、耳をカバーする耳当て等は必須です。
持ち物
・酔い止め…酔いやすい方は、よく服用している薬を携帯しておきましょう。
・飲み物…水分補給ができるよう、水やお茶はもっていくのがおすすめです。
・サングラス…夏場も冬場も日差しの照り返しなどがある為、持参しましょう。
予約方法と注意しておくべきポイント
知床クルーズの特徴などを理解したら、いざ!予約の流れまでを把握しておきましょう!予約方法や、乗船ときの持ち物、当日の流れをご説明します!
予約の流れ
羅臼側・ウトロ側ともに当日空きがあれば、予約なしでも当日乗船が可能です。しかし、GWやお盆、夏休みなどの繁忙期は、事前の予約で満席となっている事業者が多くなっています。
また、事業者さんによっては、予約順での乗船のご案内になる場合があります。やはり早めの予約に越したことはないですね。各事業者様のHPや電話、各種OTAにて随時予約をとることができます。
羅臼町側は、全5社観光船事業者が運行しています。
ウトロ側では、大型船は1社、小型船は全3社運航しています。
大型船
小型船
予約時の注意ポイント
知床クルーズは、自然相手のツアーです。風、波等の影響で欠航になる可能性もあります。支払いは原則、当日現地でのお支払いとなります。
当日の流れ
羅臼側・夏シーズン
①乗船30分前までにご予約した各事業者の事務所へ集合・支払い・受付
②各自、車や徒歩にて羅臼漁港観光船乗り場に移動
③乗船
※観光船5社全社同じ港からの出航となります。予約された会社の船を確認して乗るよう、間違えないようにしましょう。観光船スタッフが多数いますので、分からない場合は聞いてみてくださいね。
④鯨類を探し、約2時間半のクルーズ
⑤帰港後、その場で解散
羅臼側・冬シーズン
①各自、車や徒歩にて羅臼漁港観光船乗り場に集合。乗船30分前までに予約した各事業者の船の前で集合・支払い・受付
②乗船
④約2時間半のクルーズ
⑤帰港後、その場で解散
ウトロ側・夏シーズン
①乗船30分前までに予約した各事業者の事務所へ集合・支払い・受付
②一旦事務所前に皆様集合し、各事業者のスタッフが船まで徒歩にて案内
③乗船
④約2時間のクルーズ
⑤帰港後、その場で解散
※羅臼側、ウトロ側、夏冬問わず、もし、欠航になった場合は、欠航が決まり次第、各事業者様からお客様へ連絡がいきます。連絡がなければ、催行される確率が高いため、集合時間までに各集合場所へ向かうようにしましょう。
知床周辺の観光・グルメ情報
漁業の町なので、とてもおいしい海鮮を食べることができます。
特に羅臼町ではエゾバフンウニを使用したうに丼がおすすめです。
観光スポットは、夏には羅臼岳のトレッキングや、熊越の滝などの自然を堪能できる場所がたくさんあります。
詳しくは下記サイトをご覧ください!
●まとめ
知床クルーズは出港場所によって見どころも違う、魅力満載のクルーズです!
夏シーズンは、イルカ、シャチ、クジラなどの鯨類をメインで見たい場合は、羅臼での観光船。知床の景観、ケイマフリ、ヒグマなどをメインで見たい場合はウトロでの観光船に乗ることをおすすめします!
冬シーズンは、羅臼側だけでの観光船の運行となります。冬に船に乗られたい方は、ぜひ羅臼側でご乗船ください!
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