レトロで可愛い赤いドーム屋根が目印。帯広の歴史を刻む「旧双葉幼稚園」
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- 十勝・日高
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- 最終更新日:2025年11月6日
双葉幼稚園について~見学のポイント~
帯広双葉幼稚園は帯広聖公会の日曜学校が始まりで、1911年に帯広聖公会の集会所を使って帯広初の幼稚園として開園されました。開園以来毎年40〜50名ほどの園児を迎えていたため、集会所では手狭となり、1922年に現在の場所に新築移転し、建築後100年を経過しています。2017年に国の重要指定文化財に指定され、園舎だけでなく、青い目の人形や知育教材、当時の保育日誌、写真などの記録の数々が残されており、歴史的資源も兼ね備えています。
木造園舎のトレードマークでもあるドーム型の赤い屋根は、2代目園長である臼田梅氏が外国の「梅鉢型幼稚園(中心に遊戯室、その周りに保育室などが配置される)」を参考に設計に携わったもの。木々に囲まれたレトロな外観はノスタルディックな雰囲気が漂います。

四季折々の景色も美しく、取材をしたのはちょうど紅葉の時期でしたが、春には満開の桜が見られます。

画像提供:NPO法人 双葉の露
赤いドーム屋根の内部は正八角形で柱もなく、天井が高い開放的な遊戯室が広がります。天窓から光が差し込み、白い壁に反射し明るい遊戯室。現在は演奏会などで使用されています。遊戯室を中心として周囲を4つの保育室で囲んでいます。大正期に建てられた梅鉢型園舎はとても希少なことから日本の幼稚園建築の発展を知る場所として価値が高く、2017年に国の重要指定文化財に指定されました。

見学は遊戯室と保育室も可能です。ただし撮影ができるのは遊戯室のみとなっています。取材時は特別に撮影許可を頂いたので一部の保育室も撮影することができました。
当時使われていた絵本などが展示された保育室。

園児たちが背負って通っていた双葉幼稚園の園章が入った指定の鞄が椅子にかかっていました。

お道具箱なども展示されています。この空間にいると当時の園児たちの様子が目に浮かび、笑い声も聞こえてきそうです。

100年前から備品としてあったオルガンも展示されていました。現在も音が鳴り、2014年の卒園生同士の結婚式でも使用されたとのこと。

別の保育室には青い目の人形が展示されています。青い目の人形は1927年に日米間の親善を目的として日本の多くの学校や小学校に贈られました。戦時中には敵国のものとして多くの人形が処分されてしまう中で臼田梅園長が人形を守り抜き、現在も大切に保管されています。100年ほどの歳月を重ねているのに汚れや傷もなくいかに大切にされていたかが伝わります。

画像提供:NPO法人 双葉の露
そのほかにも、当時の知育教材(恩物)や保育日誌、運動会の記録など帯広の幼児教育の歴史を辿る多くの資料が展示されていますが、整理に時間がかかるため、まだ公開できていないものもあるそうです。建物だけでなく、残された資料など様々な視点から歴史を深く知ることができるのが旧双葉幼稚園の魅力です。

▲「恩物」は幼稚園教育の父とされるドイツの教育学者フレーベルが考案した教育教材▲
園舎の裏側には緑に囲まれた園庭がありました。

洋風建築のレトロな建物はどの角度から見ても美しく、見惚れてしまいます。

冬の期間は閉園しますが、ゴールデンウィークから10月末まで土日祝日の10〜15時は開園していて見学することができます。入園料は基本無料となりますが、その代わりに施設の維持協力のために一口300円以上の寄付金をお願いしています。
イベントにも注目~スピッツもライブをした~
遊戯室は音楽を中心としたコンサートや展示会などのイベント会場としての貸し出しも行われています。音の反響が良いため、気に入るアーティストの方も多いそうです。利用料が必要ですが、プロアマは問わないため、音楽教室の発表会などでも利用されています。2022年にはスピッツのオリジナルライブ番組が収録され、演奏が行われた遊戯室では訪れたファンが同じ構図で撮影を楽しんでいる光景が見られました。ライブレポートや控え室となった部屋の壁にはサインがあり、ファンには嬉しい聖地でもあります。

アクセス·駐車場
JR帯広駅から徒歩15分、車で5分の場所にあり、繁華街からも徒歩10分程度のため観光プランの一つとしてもアクセスしやすいです。最寄りのバス停は「東4条9丁目」となっており、バスの場合は駅から7〜8分程度。駐車場は園舎受付にてスタッフの方に案内していただけます。周辺には宮本商産や旧三井金物店などの古建築物が多く、旧双葉幼稚園と合わせて歴史的建築物巡りをするのもおすすめです。

- 住所
- 北海道帯広市東4条南10丁目9番地
- TEL
- 080-2864-0635
- 営業時間
- ゴールデンウィークから10月末までの土日祝日 10:00-15:00
- 備考
- 施設の維持協力のために一口300円以上の寄付金をお願いしています
北海道在住フォトグラファー 平栗玲香
1990年生まれ、北海道帯広市出身のフリーランスフォトグラファーです。北海道観光マスター検定、十勝観光文化検定上級、フォトマスター検定準1級、生物分類技能検定3級取得。9年間東京でフォトグラファーをしていましたが、2023年に帯広に拠点を移しました。趣味はツーリング、ドライブ、キャンプなど北海道の魅力が一人でも多くの人に伝わることを目標に記事を書いています。
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