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日本最北端の酒蔵、増毛・国稀酒造|北海道銘酒をめぐる旅

エリア
道北・稚内・利尻礼文
投稿日
最終更新日:2019年2月27日
高倉健主演の映画「駅 STATION」の舞台ともなった増毛町。その街中にある日本最北の造り酒屋、国稀(くにまれ)酒造をご存知ですか?知っているけどどんな蔵なの?とかおすすめは何?様々な疑問が沸き上がるかもしれません。

道内では酒蔵ベストスリーの常連。増毛町の気候風土に磨かれた国稀酒造を今回は詳しく紹介。

歴史から人気のお酒まで、このページをお読みいただければ、国稀酒造で人気の北海鬼ころしを痛飲したかのように、ころりとはまってしまうかもしれません。

1 国稀酒造とは

国稀酒造・増毛Photo by Flickr:増毛 Mashike/Go Ikeda

洋の東西を問わず、酒は人が造り、磨き上げ、その土地の気候風土が育て上げます。国稀酒造もその例外ではありません。

所在地は北海道の中でも歴史ある増毛町。江戸時代からの港町。明治の世ではニシン漁で道北一の賑わいを見せた街です。

この町に明治19年創業したのが国稀酒造。暑寒別(しょかんべつ)山系の豊かで清らかな水は南部杜氏たちの手でその増毛の冷気にも似た鮮烈さと夏の海霧のようなまろやかさを両立させる酒を作り出しました。

これが北海道の内外に名高い国稀の始まりです。その命名には明治にその人ありと知られた乃木希典大将がかかわっているといわれています。

冬にシバレる北海道に体を温める酒は欠かせません。ましてや寒さの厳しい海上で命を懸けて働く漁師たちにとって、生活必需品といえる日本酒。ニシン漁の豊かさに支えられて、現在の場所に酒蔵を増設し、現在へと至るのです。やや甘めの味わいの中にも、その歴史の息吹を感じられます。

2 国稀酒造・見学ガイド

国稀酒造の店内はいくつかの場所に分かれています。

2-1 売店

蔵に入ると一番先に目にするのがこちらの売店。製造している日本酒はもとより、酒粕を使った珍味やまんじゅうなど様々な酒造りにまつわる商品も好評。販売されるのは食品だけでなく、和風の小物も。こちらは女性に人気です。

店内は明治から昭和初期の趣を残して少し照明は落とし気味。空気は夏でもひんやり。しっとり。乾燥や温度変化は均質で良質な日本酒造りの大敵ですから、重厚な石造りはその創業当時からの品質にこだわる国まれ酒造の酒造りのスタンスをしっかりと伝えるものになっています。

国稀酒造・増毛

2-2 利き酒コーナー

左党の列がいつでも途絶えないのがこちらの利き酒コーナー。全16酒類の酒を試飲が可能。すべて無料というのはとんでもない太っ腹。豪快な漁師町に似つかわしさです。

国稀酒造Photo by Flickr:国稀/by iyoupapa

そのいろいろな日本酒の中にはネットでも手に入りにくい 数量限定の地元限定酒があったり、どこよりも早く新酒が飲めるというメリットもあります。

この酒に合う肴は何かな?などと想像しつつ、杯を傾け、酒の説明に耳を傾ける日本酒好きならば立ち去りがたい空間。美味しいお酒が飲めるのは酒蔵ならではの醍醐味です。すべてを試したころには体も心も温まっているかもしれません。

また冬期間は酒を絞り終わったあとの酒粕を使った暖かい甘酒のサービスもあります。北海道で甘酒といえば酒粕を湯で溶かし砂糖を入れたもの。米から作るものは一般的ではありません。日本海の冷たい風に冷えた体を道民風の甘酒が癒してくれるはずです。当然ですが、運転される方の日本酒の試飲は厳禁です。

国稀酒造・増毛

2-3 資料室

明治からの隆盛を伝える製品庫は平成に入りとして資料室となりました。歴史の重みを感じさせる石蔵の中は陶然となるほどの香りを室内に漂わし、見るものに100年前の姿を幻視させるかのような雰囲気です。壁一面に並べられた古いラベルを貼った一升瓶のせいかもしれません。

場所は工場手前。三階建ての中央には樹齢100年を超えるトドマツから作られた蔵全体を貫く大黒柱。見事な太さと味わいがあります。

その周りには酒造りに使用していた道具や酒器、古いラベルなどがディスプレイされ、歴史的な価値は十分。見応えもあります。

国稀酒造Photo by Wikipedia:資料館内部/100yen

2-4 千石蔵

昔は漁具の保管庫として増毛港で使われていた千石蔵。大正年間の増毛港拡張に伴いはかって増毛港にあり漁具の保管に使われていました。大正時代の港拡幅工事に伴い国稀酒造の隣に移転されました。推定ではありますが築年数は100年以上と言われています。

北海道の日本側における黄金伝説=ニシン漁の繁栄ぶりを今に伝える資料の展示が行われており必見です。その中でも圧巻は鰊船。戦後作られた鰊船としては新造船の部類。増毛地方で開発された「ダルマハギ」という独特の構造を持つ船で、の展示もっぱら鰊粕の保管に使用されていました。造られて以後使用された回数は数度と言われており、化粧板の彩色も鮮やかに往時をしのばせます。原形をしっかりととどめ、なおかつ保存状態も良好であるものは非常にまれであり、それだけでも歴史的資料として見る価値は十分にあります。

漁具、写真を展示のほか、繁忙期には無料の休憩所として活用されています。入場無料ですが、冬期間は閉館しています。

3 国稀酒造で買うべき一品

3-1 国稀 辛口鬼ころし

国稀酒造北海道の地酒で国稀酒造といえば、圧倒的に人気なのがこの鬼ころしです。道央を中心とした地域の地酒はどちらかといえば甘口が多く、コメの甘みを生かしたマイルドな味わいのものが多いのですが、道北から道東は辛口の蔵が多い印象があります。

辛口を求める左党にはこの鬼ころしは最適。雑味は少なく、一瞬、味が薄いのではないかと頭によぎるほど透明感に満ちた味わい。しかし、その後しっかりと日本酒の豊潤さが口の中に広がります。

辛口を苦手とする女子の中にも根強いファンがあるほどの売れ筋。それは、ある種の日本酒が持つのど越しのひっかかりや雑味が少ないためなのでしょう。値段的にもお手頃です。

画像提供元:国稀酒造

3-2 月涼し

国稀酒造辛口が多い国稀のラインナップの中でも女性向けの甘口とされるのがこちら。地域限定商品の純米吟醸原酒月涼し(720m)です。

米から北海道産の「吟風」を使用。精米歩合も50%と高率で、いわば磨きに磨き上げた米を使用しています。これに暑寒別山系の清廉な水で仕込み、ありとあらゆる意味で磨き上げられた作品。

芳香はフルーティー。ワインのごとき香り。軽く甘みを含み、口の中でさわやかに広がる味わい。ゆったりとなめらかに滑るがごときのど越し。後に残る深いコク。南部杜氏が持てる技術と勘を最大限注ぎ込んだ作品といえます。アルコール度数はちょっと高め。原酒ならでは味わいで五感を震わせてください。

画像提供元:国稀酒造

3-3 特別純米酒

国稀酒造全国の日本酒好きを唸らせるコストパフォーマンスの高いお酒がこちらの特別純米酒。口に含めば、お米由来の甘みが口の中に広がります。その後、その最初の甘みゆえに、すっきりとした辛さが際立つという魅惑のデュオ。すっきりとした飲み味と飽きの来ない味わいは、普段甘めの日本酒を飲む方でも親しみやすさを感じるはずです。

米は日本全国でも酒米として広く使われる五百万石。さらに精米歩合は55%と芯の一番おいしい部分のみを使用し、味とプレミアム感を上げています。求めやすい価格と合わせて、国稀酒造の実力を知る入門編として一度ご購入をおすすめします。

画像提供元:国稀酒造

3-4 山海漬け

国稀酒造の道内において有名なものにはもう一つ酒粕があります。吟醸酒を絞った後の酒粕は香りもよく、様々な栄養分もたっぷり。甘酒はもとより魚の粕漬、漬物など用途も広いのです。

この酒粕をふんだんに使い、わさび・数の子・大根・きゅうりと合わせたのが国稀酒造の山海漬です。300円程度で価格も手ごろ。酒のさかなにもご飯のおかずにも最適なため大人気です。

日本酒は飲む、飲まないもあり、お土産としては気を使います。またガラス瓶ゆえに重みも。その点、この山海漬けは、年齢、嗜好をあまり考える必要がないためご近所用と自宅用など4個5個と買い求める人も珍しくありません。

味のほうは太平洋産ニシンの数の子をふんだんに使い、よくわさびも効いて大変美味。静岡名物のワサビ漬けと似たような雰囲気ですが酒粕がこちらはメイン。主役を張れるほどの酒粕の力強さは非常に味わい深いと思います。

国稀酒造

おわりに

酒蔵の見学も一切無料。試飲も無料。千石蔵も無料。訪れるたび魅力が増していく。国稀酒造はそんな造り酒屋です。

最北の蔵はたたずまいから、サービスまで春の日本海の陽だまりのように暖かく心を和ませます。

留萌から増毛の鉄路が廃止される前にぜひ訪れていただくことをおすすめします。きっと心も体もホカホカとすることにまちがいありません。

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