最北の日本百名山「利尻山」登山。天空のパノラマ稜線と山上のお花畑を楽しむ
- 道北・稚内・利尻礼文
- 最終更新日:2024年7月9日
深い樹林帯を越え、高山植物を愛でながら雲の上の世界へ。眼下に広がる北限の大パノラマや、利尻島固有種をはじめとする山上のお花畑は、言葉にならない感動的な光景です。
本記事では利尻山へのアクセスや登山のポイントをお伝えするとともに、実際に筆者が行った登山の様子もレポートしたいと思います。
もくじ
1.利尻山へのアクセス
まずは「利尻山」へのアクセスについて。
利尻山の登山口は、鴛泊(おしどまり)港から車で約13分の利尻北麓野営場(鴛泊コース)か、沓形(くつかた)港から車で約25分の利尻山見返台(沓形コース)の2つがあります。
鴛泊コースが登山者の9割以上が利用する推奨ルート。
鴛泊コースの場合利尻山山頂までは往復約12km。往路は約5時間、復路は約4時間の道のりで、早朝5時から登り始め14〜15時に下山するタイムスケジュールとなります。
沓形コースは三眺山以降(9合目〜山頂分岐付近)の難易度が高く、上級者向けの内容になっています。
利尻島には、早朝5時前後に利尻北麓野営場(鴛泊コース)へ送迎をしてくれる宿泊施設も多いので、ぜひ利用してみてはいかがでしょうか。筆者はゲストハウス「利尻ぐりーんひるINN」さんを利用しました。
宿の送迎サービスを利用する場合、下山後は自力で宿まで戻る必要があります。
利尻富士温泉を経由する路線バス(宗谷バス)やタクシー(予約がベター)をご利用ください。
一方で、特に車やバイクでお越しになる方は、登山口がキャンプ場になっているので、利尻北麓野営場で1泊して利尻登山に挑戦するのもオススメです。
2.利尻登山でのポイント
利尻山山頂までは道迷いしやすい箇所はなく、ルートは明瞭で電波も入ります。
一方で留意しておきたいのは、水場と気候です。
水場についてはスタートから徒歩約15分の場所に甘露泉水があります。利尻山の雪解け水が湧出しており、ミネラル分を多く含むおいしい水です。ここから山頂までは水場がないので、たっぷりと給水しておきましょう。
気候についてですが、利尻山は北限にある日本百名山です。標高は1,721mながら気候は本州の標高3,000m級に匹敵します。
山麓と山頂は寒暖差が大きく、天気も変わりやすいので、気候に順応できるよう重ね着できるレインウェアを持参することをオススメします。
3.利尻山登山出発!
深い樹林帯から第二見晴台へ(登山開始)
それでは次に筆者のレポートを交えながら、利尻山登山(鴛泊コース)をご紹介したいと思います。
スタートすぐはひたすら樹林帯を進んでいきます。北海道の離島にはヒグマが生息していません。北海道の山でありながら、熊鈴を着用している登山者がいないのは新鮮でした。
利尻島がまるで一つの山であるかのような存在感をもたらす利尻山。その地形の影響で晴れの予報でも、霧雨ということも多いです。筆者が登った日もそうでした。地元の方いわく、天気予報は必ずしも当たらず、その日になってみないと天気は分からないそう。
前半は高山植物を鑑賞しながら進んでいきます。イチヤクソウやヒヨドリソウ、ノコギリソウなど、本州では珍しい沢山の花々を見れました。朝露に濡れている姿も美しかったです。
スタートから約2時間弱で到着する第一見晴台では霧が充満。視界は全くなかったのですが、第一見晴台〜第二見晴台の区間で、木々の間から視界が開けていることを確認します。
第二見晴台に到着すると、雲海の大パノラマが展開。登り始めは雨だっただけに、天気の逆転劇に感動しました。
長官山から天空パノラマの稜線へ(約3時間経過地点)
スタートから約3時間で「長官山(ちょうかんさん、標高1,218m)」へ到着。
利尻富士の前衛にある山です。利尻山を代表する絶景は、ここから撮影された一枚です。
尖った頂を有し、一面緑の山肌が美しく、季節によって雪渓も見ることができます。利尻富士のスケールに吸い込まれるようです。
ここまで来ると、一回利尻岳山小屋までわずかに標高を下げ、9合目(沓形分岐)を目指す森林限界の道が続きます。森林限界とは高木が生育できない高山帯を示す境界線のことです。
進めば進むほど、利尻山が手に届くような臨場感を味わえ、振り返るとダイナミックな雲の向こうに利尻島の海岸線を望みます。まさに天空のパノラマ稜線と呼ぶに相応しい高度感です。
標高を上げるほど、登山道の高山植物も色鮮やかになっていきます。そして9合目(沓形分岐)手前の北西斜面には、数えきれないほどたくさんのお花が咲き誇り、まるでおとぎ話の世界のような光景が広がっていました。
ここから山頂周辺一帯にかけて、利尻島の固有種も含む高山植物の楽園です。
利尻島固有種のお花畑(約4時間30分経過地点)
9合目(沓形分岐)を過ぎると、山頂まで残り約30分弱。登山道の中でいちばん傾斜のある区間が続きます。危ない箇所はないものの、体力を使うため、マイペースで進むことをオススメします。
しかしそこはもう雲の上。まさに島の頂点に来たという感動を得られますよ。さぁゴールはすぐそこです。
360度の絶景広がる山頂(約5時間経過地点)
スタートから約5時間で利尻山(標高1,721m)の頂上へ到着。祠が山頂の目印になっています。天気変化の大きい利尻山では、頂上だけ霧に包まれることも多いです。当日の天気は、登ってみての運次第だと思います。
しかし晴れれば360度にわたって島を見渡すことができ、遠く礼文島や北海道の宗谷岬なども視界に収めることができます。日本の最北端を見渡す唯一無二のパノラマです。
山頂にもたくさんの高山植物が咲き乱れていました。筆者が訪れた7月は利尻島の固有種ボタンキンバイの群落が見事でした。山腹から山頂までお花で満たされている山は、全国各地を探しても珍しいと思います。
心ゆくまで天空の花畑を鑑賞したら、下山後の利尻富士温泉を楽しみに、約4時間の下山へ就きます。第一見晴台に至るまで、絶景パノラマは健在です。
一生に一度は登りたい日本百名山の一つ「利尻山」。ぜひ体力や準備を万全に、計画を立ててみてはいかがでしょうか。
- 住所
- 北海道利尻郡利尻富士町鬼脇
- 住所
- 北海道利尻郡利尻富士町鴛泊字国有林内
日本深掘りサイクリスト・フォトグラファー 土庄雄平
1993年生まれ、愛知県豊田市出身。同志社大学文学部文化史学科・英文学科卒。サラリーマンの傍、自転車旅&登山スタイルで、日本各地を駆け巡るトラベルライター。 四季折々の日本を五感で捉え、発信しています。
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