函館から日帰り可能!荒涼な山塊・日本新百名山「恵山」登山ガイド
- 函館・道南・奥尻
- 最終更新日:2021年12月27日
標高は低いながらも、海岸線から急激に立ち上がる山塊は、畏怖の念を感じさせる佇まい。まるで違う星にでも来たかのような圧倒的な世界観を見せてくれます。
今回はそんな「恵山」登山をご紹介しましょう。函館から日帰りで訪れることができ、徒歩往復2時間半〜3時間のコース。初心者でも手軽に冒険が楽しめる、日本新百名山です。
函館から車で約1時間。「恵山登山道路」を経て登山口へ
函館市街から恵山登山口までは、車で1時間ほど。国道278号線から道道635号線、そして恵山登山道路と呼ばれる道を進み、終点の火口原駐車場に車を止めたら、登山開始です。
途中、恵山登山道路は海抜0mから山肌をつづら折りに上っていく道。少しずつ近づいてくる赤茶けた山塊は、登山の臨場感を高めてくれます。
そして駐車場へ到着すると、えも言われぬ雰囲気を放つ山が!山塊に対峙する登山口では、その迫力を存分に味わうことができます。赤茶けた山肌と、吹き上がる噴煙。まさに大地が鼓動をしているかのようです。
実はこの恵山は今も活動している活火山。平成28年以後、この山に噴火警戒レベルが導入されてから今までずっとレベルは1ですが、留意しておきましょう。
恵山登山開始!標高を稼ぐほど世界を変えていく「権現堂登山コース」
火口原駐車場から舗装された散策道を進むと、登山道の標識が現れます。基本的に道の導線は明瞭なので迷う心配はありません。
森林限界を思わせる低木帯の中、歩いて10分ほど「権現堂登山コース」という標識が本格的な登山道の目印になります。
※2020年には高校生が遭難するという事件が発生しています。道迷いの可能性は低いですが、滑落するリスクがあるので、登山道の導線からはくれぐれも外れないように登りましょう。
標識から約10分ほど、つづら折り状の階段を進み、標高を上げていけば、少しずつ周囲の風景が変わっていきます。緑の大地から荒涼とした山肌へ、世界を変えていくような趣です。
また眼下には真っ青な海も飛び込んで来ます。冒険心を掻き立てられ、思わず足も軽くなりますね。
火口を望むポイントへ。大迫力の山塊が眼前に迫る
駐車場から徒歩40分ほどで、ようやく山頂までの中間地点へ到着。実はこの場所が登山道の中で唯一、火口を間近で望めるポイントです。この辺りになると、山肌も濃い赤褐色を帯び、火山岩がゴロゴロと転がっています。
山肌の間から白煙が吹き上げる様子には、自然の底知れないパワーを感じられるはず。
また先ほどよりも、活火山の象徴である「溶岩ドーム」の全景を近くで望むことができます。
緑の全くない山肌は、まさに”異観”の山です。古来よりこの山が信仰を集めてきた理由が、なぜか分かる気がしてきますね。
なおこのポイントでは、以下の点に注意してください。
・風向きによっては強い硫黄臭が流れてくるため、気分が悪くなるまで吸いすぎないこと。
・身を乗り出すと滑落のリスクもあるので、登山道から外れないこと。
恵山登頂!赤茶けた山肌から津軽海峡を一望する絶景
火口を望むポイントから徒歩30分ほどで、道の傾斜が少し落ち着いてきます。同時に、山肌の緑が復活。不思議なエリアですが、これが山頂近くの目印です。
そして「恵山(標高618m)」の山頂標識が現れたら、ようやく登頂!火口原駐車場から約1時間半〜2時間ほどの行程になります。
山頂からはこの大展望。赤茶けた山肌の先には、渡島半島の南岸がら津軽海峡が一望できます。山肌のエッジが際立ち、奥行きのあるパノラマを作り上げているのがポイント!
低山ながら、大スケールの自然景観が味わえることが「恵山」の醍醐味と言えるでしょう。山頂は広々としているため、景色を楽しみながら休憩するにはもってこいです。
余裕があれば「恵山展望台」も。異観とは違う山麓の緑を一望
復路も往路と同じ「権現堂登山コース」を歩いて戻ります。行きの1.5倍速くらい。往復で2時間半ほどを見ておけば、火口原駐車場へ戻れるでしょう。
なお場合によっては物足りない方もいらっしゃるかも知れません。そんな時、恵山の山麓の一角にある「恵山展望台」へと立ち寄るのがオススメ!権現堂登山コースとは反対側に道が伸びているので、わかりやすいです。
山肌を緩やかに登っていくこちらの道も迫力抜群!
展望台へ到着すると、眼下には一面緑のパノラマが広がります。この展望台が位置しているのは、緑の山麓と荒涼な溶岩ドームの境界線。山上からの景色が嘘みたいに、生命力の溢れた自然の姿も絶景です。
低山ながら大パノラマが魅力。新日本百名山「恵山」へ登ろう
いかがでしたでしょうか?今回は函館東端に位置する日本新百名山「恵山」の登山コースを紹介しました。函館市街から車で約1時間とアクセスしやすく、登山も往復2時間半〜3時間と、初心者向きの内容となっています。
しかしながら、その手軽さとは裏腹に、圧倒的なパノラマを楽しめるのが魅力。津軽海峡まで見渡す景色は圧巻です。函館観光の傍、ぜひ一度挑戦してみてはいかがでしょうか?
<恵山の基本情報>
住所:北海道函館市御崎町
アクセス:函館市街から車で約1時間
※備考
・恵山は活火山です。 火口付近は火山ガスを含む噴気が出ているため、むやみに近寄らないようにしてください。
・滑落すると危ないため、登山道から離れたり、身を乗り出さないようにしましょう。
・ヒグマに遭遇しないように次のことに注意してください。
(1)音を出してヒグマに自分の位置を知らせましょう。熊鈴も有効です。
(2)天候の悪い日は特に注意しましょう。
(3)周囲に気を配りましょう。
(4)ゴミは絶対残さないでください。(ヒグマを引き寄せる要因になります)
・恵山にはライブカメラが設置されているため、登る前に天候を確認できます。
https://www.data.jma.go.jp/svd/vois/data/tokyo/volcam/volcam.php?VC=11402
日本深掘りサイクリスト・フォトグラファー 土庄雄平
1993年生まれ、愛知県豊田市出身。同志社大学文学部文化史学科・英文学科卒。サラリーマンの傍、自転車旅&登山スタイルで、日本各地を駆け巡るトラベルライター。 四季折々の日本を五感で捉え、発信しています。
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