石川啄木が132日間を過ごした、函館のゆかりの地4選
- 函館・道南・奥尻
- 最終更新日:2019年3月6日
一生懸命受験のために覚えた文豪表かもしれませんし、教科書の中の美しい詩を思い浮かべる人もいるかもしれません。
さて、石川啄木は生前、友人に向けて「死ぬのならば函館で」という旨の手紙を書いていました。そんな彼ですが、意外なことに函館に滞在したのはわずかに132日間しかありません。
波乱万丈な彼の人生にとって、束の間の平穏な時だった、ということなのかもしれません。ということで今回は、函館市内の石川啄木ゆかりの地についてご紹介します。
1.啄木小公園
函館駅から6系統のバスにのって約10分。啄木が詩を詠みながら歩いたという大森浜を眺めていると、すぐに啄木小公園に到着します。
啄木小公園は、公園というには少々小さい場所ですが、晴れた日のロケーションは最高。小さな東屋と啄木像、そして啄木の歌が刻まれた碑があります。
歌碑には西条八十(さいじょうやそ、1892~1970)が石川啄木に捧げた詩が刻まれています。
「眠ゐし君に捧ぐべき 矢車草の花もなく ひとり佇む五月寒
立待岬の波静か おもひでの砂ただひかる」
現在の短歌・俳句の形を整えた石川啄木。残念ながら生きているうちに高い評価は得られませんでした。ですが、死後歌壇に大きな影響を与えたようです。
ちなみに、石川啄木像の台座には
「潮かをる北の浜辺の 砂山のかの浜薔薇はまなすよ 今年も咲けるや」
と刻まれています。
住所 函館市日乃出町25
問合せ先 函館市元町観光案内所
電話番号 0138-27-3333 ※カーナビ検索には使えません
2.土方・啄木浪漫館
啄木小公園に隣接されている土方・啄木浪漫館は、二人の偉人の歴史を同時に知ることが出来る名スポットです。
二人とも函館にゆかりがある人ではありますが、どういった経緯でまとめてしまうことにしたのでしょうか。理由はどうあれ、一度に二度美味しいことは間違いありません。
写真は啄木小公園の反対側から見た景色。函館空港から出ている96系統のバスに乗るときは、この景色が目印です。啄木小公園のバス停で降りればすぐ目の前となります。天気がよければ1つ手前で降りて散策してみるのも、啄木気分を味わえるかもしれません。
まず入ると鋭い目をした土方像にお出迎えしてもらえます。目つきがとても鋭いですね。流石の迫力です。
中は、1階が土方歳三(1835年~1869年)の展示、2階が石川啄木の展示となっています。2階では石川啄木に関する17分の映像をシアターで見ることも出来ます。
外にはこんな本の形をした石碑もありました。天気の良い日には2階バルコニーから外の景色を眺められるのですが、この日はものすごい強風のため断念。皆さんは是非、外の景色も楽しんでくださいね。
また、啄木浪漫館の由来もありました。
他にも館内には当時の文化がわかるチラシや、文豪とは切っても切り離せない「タバコ」の価格表の他、親交のあった著者の本や、明治の蓄音機など様々なものが展示されています。
住所 函館市日乃出町25-4
TEL 0138-56-2801
開館時間 9:00~18:00(最終入館17:00)
休館日 12月31日・1月1日
料金 大人800円 中高生600円 小学生500円(団体割引あり)
公式ホームページ:http://www.romankan.com/
3.石川啄木歌碑
明治40年に函館にきた石川啄木。その住居は青柳町にあり、そこから近い函館公園にこの歌碑はあります。
路面電車で函館の風情を味わいながら来ると、楽しさが倍増するかもしれません。
ともすれば、ひっそりと佇んでいるためすっと通り過ぎてしまいそうなほど景色に溶け込んでいますね。
函館公園の中の、通称すりばち山にこの歌碑は立っています。
ここには、石川啄木の短歌が彫られています。
「函館の青柳町こそかなしけれ 友の恋歌 矢ぐるまの花」
この「かなしけれ」は一見すると「悲しけれ」と誤解してしまいそうですが、漢字で表すのならば「愛しけれ」となるそうです。
石川啄木が函館に来たのは、文学の同志である「苜蓿社(ぼくしゅくしゃ)」のメンバーがいたからだと言われています。
その人たちと、盛り上がったのは文学の話と、それからコイバナだったとか。
啄木はこのメンバーに生活を支えられ、波乱万丈の人生の中での唯一と言っていいくらい穏やかな時間を過ごします。
ですが、その幸せはあの函館大火(1934年3月21日)により奪われてしまいました。滞在期間はたったの132日間。その短いけれど幸せだった期間を思い出して作った歌、という解釈もあります。
住所 函館市青柳町17-3 函館公園内
問合せ先 函館市住宅都市施設公社
TEL 0138-40-3605 ※カーナビ検索には使えません
4.函館市文学館
こちら函館市文学館の入り口です。
もともとは大正時代に建てられた銀行を改装して造られているそうです。分厚い壁の元金庫だった部屋など、ほんのりと当時の面影を感じられる味わい深い造りとなっています。
この文学館がある場所は、船着き場近くで当時の銀行街にあたります。船で到着したお金は銀行へ、品物は金森倉庫へと運ばれていた、という背景があります。
当時の函館はとても文学の勢いのある街でした。石川啄木を筆頭に長谷川海太郎(はせがわ かいたろう、1900年~1935年)や辻仁成(1959年~)など著名な作家の歴史を知ることが出来る場所となっています。
1階はそれらの文学人の展示を、2階では石川啄木の特集をやっていました。展示は時期によって異なりますので、訪れる際には是非公式HPをチェックしてみてください。
2階ではどこかで見たことのある像がお出迎え。
そう、実はこの像は啄木小公園にある像の原型なんです。
希望者は9時~15時の間、ガイドさんの説明を受けながら館内を回ることが出来ます。
石川啄木のちょっとアレな話から、函館時代の憧れの君、借金計算表など色々なものの説明を受けながら見て回ることが出来るのでとってもおすすめです。
住所 函館市末広町22-5
TEL 0138-22-9014
開館時間 9:00~19:00(4~10月) 9:00~17:00(11~3月)
休館日 12月31日~1月3日、展示替え・館内整理時
料金 一般300円、学生・生徒・児童150円(団体割引あり)共通券あり
公式ホームページ:http://www.zaidan-hakodate.com/bungakukan/
おわりに
以上、函館の石川啄木ゆかりの地についてご紹介いたしました。
特に函館市文学館は函館観光の定番の一つである、金森倉庫近くにありますのでおすすめです。
観光の際は、是非お立ち寄りくださいね。
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